FC町田ゼルビアの改名問題から考察。投資対象にリスペクトされているのか?

2019-10-19

普段はベルギーサッカーについてしか書かない当ブログですが、町田ゼルビアのチーム名称変更問題について、ツイッターでダラダラと書いていたので、自分の見解について書きたいと思います。

FC町田トウキョウ

なぜ「FC町田トウキョウ」が炎上しているのか? クラブ名称変更をめぐるオーナーとサポーターの齟齬(宇都宮徹壱) – Y!ニュース https://news.yahoo.co.jp/byline/utsunomiyatetsuichi/20191012-00146593/

今回の話は「2025年にACL制覇」「町田から世界へ」「東京全域へのマーケティングを拡大する」「トウキョウを名乗ることで資本を引っ張ってこれる」など、一つ一つ食いついていきたいと思ってはいますし、以前はアメブロユーザーだった立場から感じる「サイバーエージェント自体への疑念」など山程言いたいことはありますが、たぶん相当長くなって読みづらいと思うので、一点だけ触れたいと思います。

いろんな人がいて、いろんな意見があると思いますし、自分は「町田サポーターが良いと思うならOK」という前提はありますが、個人的には「名称変更」に関する問題は、非常にシンプルなものだと思っています。

なぜ町田なのか?

サポーターミーティングの動画を通してみた感じでは、オーナー側とサポーターでは求めているベクトル自体が合っていない印象を感じました。

本題の名称変更にしてもそうですが、サポーターは「町田のサッカークラブ」として主眼を置いていますが、藤田晋オーナーから出てくる言葉は「ビッグクラブを目指す」「グローバルなクラブを目指す」「トウキョウを名乗れば投資を見込めるし、世界にも発信できる」と言ったことであって、根本的な部分でズレまくっています。口から出てくる言葉は「町田である必要性」にはとても見えなかったです。

「東京」を名乗るクラブを運営したいならば、そもそも買収するべきクラブは、町田ゼルビアである必要性がなくて、JFL以下にある東京武蔵野シティFC、東京23FCなどといった、まだまだ色がついているといえないクラブだったり、1からクラブを結成するところから始まってもいいでしょう。

ドイツなら8部の頃に買収し、現在は欧州カップの常連にまで成長したホッフェンハイム、レッドブルが5部のクラブを買収して現在はブンデスリーガ上位のRBライプツィヒなど、海外には様々な例が存在します。

下部カテゴリーからのスタートになると、長期的な視野でかつ、忍耐強さが求められるが、すでに歴史を作り上げてきた町田を買収するよりは、経営者の自由は効くでしょう。

広域ホームタウンへの疑問

個人的な意見としては、試合開催地と練習拠点以外はホームタウンと考えていないので「広域ホームタウン」は反対です。地方のクラブでは「全県ホームタウン」は多いですが、実際にスタジアムに通うサポーターがどれだけいるかと考えたら、「近い場所に住んでいる人こそ来てもらう」方が効率的で、市町村レベルの祭りや運動会のように「地域一帯で盛り上がれる空気」は作りやすいのではないかなと思います。

酷い言い方になってしまいますが、ちょっと距離が離れている場所から通うサポーターさんは「物好き」の部類に入っちゃうだろうなあと感じるのです。物好きは物好きでいいですが、優先するのはそこではないと思うし、下記のようになってしまいます。

さすがにホームタウン拡大で陣取り合戦になってしまうのって、関係の薄いホームタウンを増やすだけで、運営側のご都合だけが優先しちゃっているように見えます。県境をまたいだとしても、学校や通勤など日常生活を過ごす場所であるなら、別に地元のチームだと思って通っていればいいと思います。スタジアムや練習拠点がない地域では「ホームタウン」の考え方は人それぞれの主観にしか過ぎないのに、規定で決まってしまうのも疑問に感じるものです。

こういう言い方すると嫌がる人はいるかもしれませんが、日本の10分の1の面積と人口規模であるベルギーの国内リーグ見ている立場からしたら、Jリーグの各クラブには「広域ホームタウンに広げる以前に、もっと狭い地域でお客さん集められないの?」と思うことがあります。

伊東純也が所属するヘンクのホームタウンは6万人、ローカルライバルでシュミット・ダニエル、伊藤達哉、鈴木優磨が所属するシントトロイデンのホームタウンは人口4万人で、リンブルフ州全体でも86万人と規模は小さいですが、ヘンクは平均2万人、シントトロイデンは平均5~6000人ほどの動員です。中継ではガラガラに見えてしまいますが、地域の人口規模から考慮すると、個人的には結構動員できていると感じるものです。

過剰なトウキョウ信仰は田舎者の発想?

「町田は神奈川」「神奈川県町田市でも郵便が届く」など言われるように、町田は政治的な区分としては東京都ではあるが、実際暮らしている人からしたら、23区のような都心のような場所からしたら、イメージとかけ離れているでしょう。藤田晋オーナーは「町田から東京都内へマーケティング」とは言いますが、生活している人達の目線とはズレを感じざるを得ません。

ちょっと失礼な言い方になりますが、僕のような地方の田舎の人間からしたら、東京をイメージするのはやはり23区の華やかな場所をイメージしますが、町田はそういった場所じゃないと思います。ホームの野津田公園にしても、いわゆる「里山」と言える場所で空気もキレイな場所で農家も見られるだけに、正直「東京都だけど自分達のほうが近いじゃないですか?」と感じてしまいます。

それを「トウキョウ」と名乗っていては、現実との乖離が激しすぎて、逆にかっこ悪く見えてしまわないかと感じます。なんというか、そんなに出歩いたわけでもないのに「東京」という言葉だけで持ち上げている感は否めず、マスメディアを通じてみて憧れて上京した田舎者の感覚に近くて、既存のサポーターとしてはそりゃ「町田トウキョウはクソダサい!」と言っちゃうのは当然だろうなあと感じるものです。

投資対象に興味があるのか?

「投資対象に興味があるのか?」ということですが、色んな人のツイッターでのコメントやブログ記事を見ていると、率直に言うと「町田自体の掘り下げがあまり見られない」と感じてしまいます。

僕は地元の北陸某所で会社員を務めながらも、副業でライターなどやっていますが、いろいろ出歩いてみて思うのは、やはり「地元から何かを発信しよう」と思う人が多いということです。

地元に戻ってきた当初の自分がそうだったのでわかるのですが、東京・関東の華やかさとか賑やかさをベースとして見てしまうのか、地方の抱えている問題に対して、上から目線で語ってしまうことはよくありました。確かに「東京で流行っているものを持ち込んで失敗している」人達が多い上に、「娯楽もパチンコしかないのか?」と見下したりしていたので、だらしないなあと思うことはあったものです。

しかし、自分でアンテナを張っていろいろ見ていくうちに、実際面白いことをやっている人が多く、田舎だろうが趣味を全力で楽しもうとしていたり、今住んでいるところのネタをどんどんアピールしたり、はたまたそれぞれを組み合わせて変わったメニューを作っちゃうような人もいたりと、在京のマスメディアが無視しそうなネタでも、結構面白いのはあったりするものです。

パキスタン人が運営している中古車輸出業が多いですが、自分の故郷の飯が食べたいから、母国からシェフ連れてきて、日本のインド料理屋で見られないような変わったカレーを出したり、逆に日本人客がクロマグロの頭を持ち込んで、オリジナルの料理を作らせるとか、変わったことしている人はいるものです。要は「世間の人達は先入観だけで何でも判断しちゃうけど、実は知られていないだけで面白いネタはある」ということです。

ベルギーリーグは掘り下げが不十分

自分はベルギーサッカー、ベルギーリーグのブログを運営していて、ツイッターでもいろいろつぶやいていますが、基本的にはどこのクラブにしても、掘り下げはきっちりしていこうと考えています。

時間、自分の好み、言語習得の問題により、どうしても自分の贔屓であるヘントやシャルルロワがメインであって、いわゆる「G5(5強)」と言われるクラブが中心に扱ってしまいますが、どこも掘り下げるとそれぞれの個性はあって面白いので、それなりに調べてから書くようにしています。

日本人からしたら、ただの地味なクラブに思われるだろう「KVコルトレイク」なども、フランスの下部リーグやバルカン半島のクラブから興味をそそられるような選手を獲得していて、ビッグクラブからも若手を借りているので、選手構成が独特で、コルトレイクを見ながら欧州の市場を知ることもできるかと思います。オーナーはカーディフやロサンゼルスFCなども所有している、マレーシア人のヴィンセント・タンという方ですが、最近新スタジアム建設の場所選定のニュースが出たりと、人口7万人の小都市ながら意欲的な姿勢を見せています。

ちなみに、KVコルトレイクのホームは「グルテンスポーレン」と言いますが、1300年前後の「フランス・フランドル戦争」で、コルトレイクが戦地となった「金拍車の戦い」から取っています。この戦争は中世ベルギーの主要都市だったブルッヘとヘントが隣国フランスに勝利した戦争であり、ベルギーの国の成り立ちとしては重要な歴史的な出来事の一つです。日本から見たら「ただの中堅クラブ」と切り捨てられるかもしれませんが、一歩踏み込んで調べてみると教養が深まる楽しさはあるだろうとは感じられます。

トップクラスを目指す上に、ビジネス的にネーミングライツを採用したら良いかもしれませんが、街の象徴である「グルテンスポーレン」を名乗らなくなったら、クラブのアイデンティティも損なわれるのではないでしょうか。

あと、コルトレイクは西フランデレン州のクラブですが、最南端に位置するため、北部にビッグクラブのクルブ・ブルッヘがいる以上、州で集客するのは現実的ではないでしょう。日本の広域ホームタウンのように「KVコルトレイク=ウェスト・フランデレン」なんて名乗るのは、本拠地自体や街が誇りに思っていることが霞んでしまうだけのように感じてしまいます。

日本人選手が多く移籍して、ベルギーリーグのクラブへ移籍して、近年は注目が高まっているとは言われていますが、正直言うと、日本人向けに切り取られた情報だけが日本のメディアに入ってくるくらいであって、日本語の情報が格段に増えた印象はありません。日本人がいくら増えても、2年連続のMVPで現役ベルギー代表MFハンス・ファナーケンのことは、日本人の多くは知らないでしょう。

現地にいるような感覚のままに、そのまま日本語情報として発信していないので、国内屈指の名門であるクルブ・ブルッヘのことは全く頭に入れずに、ベルギーリーグについて語るという、僕からしたら違和感しか感じない論調が出てくるものかなと感じます。

これは自分でどうにかしたいところですが、なかなか難しいですね。

町田ってどういうところですか?

…ということで、町田についてですが、学校の地理の授業などで知るようなことは一切なく、遠い地方の人間からすると「東京の一部」であって、暮らしている人の感覚まで分からないものです。サイバーエージェントの藤田氏はその感覚に近いかなあと動画見てて思ったものです。

僕にとっては、元々ゲーム雑誌の愛読者だったので、町田には「格闘ゲームの聖地」というイメージがありました。東京と神奈川の猛者が集まって、えらい盛り上がっていたそうです。これは「町田は神奈川」とネタにされる地域だからこそ、名前を知られたかなあと思ってます。

正直ゼルビアを通してでは、名前ぐらいしか分からず、元々の経営者達も本来の運営業務でいっぱいいっぱいなのか、あまり「ゼルビアを通じて町田を発信している」という感じはしなかったです。関東リーグ時代から追っている「相模原町田経済新聞」を始めとするローカルなメディアなど積極的に盛り上げているような印象はあります。

サポーターが盛り上げたり、ローカルなサッカーの愛好家達がネタにしながら、J3の頃はコミュサカで結構ネタになっていたのを覚えているので、客は少ないとはいえ、コミュニティを確立されている印象さえありました。サポーター有志が女子マネでプロモーションしたり、スタグルのカレー屋が面白かったり、ハーフタイムには地元の農家が野菜売りに来たり、ハーフタイムや試合後は裏の芝生広場でサッカーしている親子が多かったりと、個人的にはポジティブな印象を感じるものも多いです。

そういうのを見てあげないで「マーケティング」「リブライディング」など先行しちゃうのって、実際どうなんだろうなあ…と思います。元々持っている町田のポテンシャルを無視して、運営側の考え方で押し切っちゃうのは、地域貢献になっているのか疑問を感じます。

だって、嫌じゃありませんかね?自分の地元について、外側の人が先入観だけで好き放題言ったりやったりされるのって。ましてや危機感を煽って、今あるものを無視したり蔑ろにする人間は、独善的な印象を感じて当然かと思います。

改名は先延ばしに

ブログを書いている途中に、来シーズンは見送ることが決定したそうです。サポーターが見ないところでコソコソと商標登録やJリーグからの承認を得るのは、あまり感じのいい話ではないので、これを押し通すのは良くないだろうなあと思っていましたが、サポーターの反応を見て見送ることになりました。

「J1制覇、ACL制覇のために、クラブの核となる部分まで根こそぎ変えていいのか?」と思うところはありますし、東京都内でマーケティングしていくには、神奈川県も巻き込むくらいでないとリアリティがないと思っていただけに、双方が良いところで決着付けば良いのかなと思いました。

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