ストラングラーズ日本公演レポート

11月3日に渋谷WWWでのストラングラーズのライブへ行ってきました。

いろんな方がレビューを書いているので、サッカーブログでありながら、自分も書いてしまおうと思います。

ストラングラーズとは、1974年結成のイギリスのロックバンドで、パンクムーブメント真っ最中の1977年に「Rattus Norvegicus」でレコードデビュー。セックス・ピストルズ、クラッシュ、ダムド、ジャムらともに「5大ロンドンパンク」と言われたが、メンバーにキーボードがいることもあってか、ニューウェーブの草分けなど言われていました。

今も活動しているのは、ダムドとストラングラーズぐらいです。オリジナルメンバーのヒュー・コーンウェル(ギター&ヴォーカル)は抜けて、ジェット・ブラック(ドラム)は体調問題で引退してしまいましたが、今は初期メンバーのジャン・ジャック・バーネル(ベース&ヴォーカル)とデイヴ・グリーンフィールド(キーボード)に、2000年に加入したバズ・ワーン(ギター&ヴォーカル)に、2011年頃からサポートメンバーなどで活動していたジム・マッコーリー(ドラム)の4人体制で活動しています。

僕のように80年代生まれとしては、ロンドンパンク勢は完全に後追い世代になってしまいますが、ストラングラーズは高校生ぐらいから名前は知っていて、その頃はいろんなロックミュージックに触れていってましたが、その過程の中でストラングラーズにぶち当たってしまいました。みんなセックス・ピストルズのことは持ち上げてましたが、僕はストラングラーズに惹かれましたね。

The Stranglers – Hanging Around

同世代のパンクミュージシャン同様、気性の激しさは目立つものの、他よりは演奏能力が高く、メッセージ性が強いなどありましたが、個人的には個性的な4人が絡み合ったグルーヴ感がたまらなかったです。ジャン・ジャック・バーネルのゴリゴリとしたベースに、デイヴ・グリーンフィールドのピロピロと弾きまくりのキーボードが混ぜ合わさるのは、正直「こんなの聞いたことないよ!」と思ったものです。まるで血が騒ぐような感覚さえあります。

The Stranglers – Norfolk Coast

70年代後半のパンクロック全盛期には、僕は生まれもしていないので、全く世代ではありません。完全に後追いだと、リアルタイムを共にした古株のファンのようにはいかないだろうなあと思うので、今のアルバムをちょっと聴くくらいに済んでしまいがちですが、逆に今の曲もすごかったので、2004年に「Norfolk Coast」が発売した頃から、頻繁に聴いています。

フロントマンのヒュー・コーンウェルが脱退した後でも、疾走感と重厚感がある曲は素晴らしいし、今のギタリストのバズ・ワーンも良い仕事していると思います。

2006年発売の「Suite XVI」に収録されている「Relentless」は特に気にいっていて、この曲がストラングラーズが大好きになる決定打になったように感じます。この曲、イントロからしてかっこいいんですよね…。

「いつの日かライブへ行きたい」と思って、Youtubeで時々ライブ動画を見ていながらも、なかなか日本には来ないので、半分あきらめもしていましたが、今年の3月に「来日決定!」とTwitterで発表されていたので、即座にチケットを買いました。

ベースのジャン・ジャック・バーネルは、三島由紀夫の愛読者で空手の有段者であり、70年代から80年代にかけて活動していた日本のロックバンド「ARB」のベーシストとしても一時期参加しており、日本には縁が深いアーティストです。2004年にはアニメの「巌窟王」の音楽も担当しています。過去に乱闘騒ぎを起こしたり、毒舌で物議を醸す発言も多く、40年前の後楽園ホールでのライブでは、ナチスの制服を着てきたファンを会場から追い出したり、紙テープを投げたファンに思いっきり投げ返したりと伝説の多い人物です。

他の洋楽アーティストはリップサービスの有無に関わらず、日本を褒める発言をするものですが、彼の場合「日本はアメリカナイズされている」「日本人は眠っている」「ガードマンに制御された聴衆などブラック・ホールのようなものだ!エネルギーを吸収するだけ。何もかえってこない。我々は虚無に向かって演奏しない!」など、いろいろ突きつけてくる発言をしますが、僕はそういう彼が好きなんですよね。

その半年後の11月3日に渋谷のWWWへ。会場1時間前に到着し、ツアー限定Tシャツを購入。待っている客層が僕より年上ばっかりな上に、カタカナで「ストラングラーズ」「サムシング・ベター・チェンジ」と書かれたTシャツを着ている外国人の集団がおり、やはり往年のファンが多い印象でした。

WWWはオールスタンディングですが、チケットを早々に購入したこともあり、前3列目を確保。9000円(+600円のドリンク代)のチケットで世界的なアーティストをこの距離で見れるとは何て素敵なことでしょうか。新旧含め洋楽の大物アーティストは、今では10万以上出さないと厳しかったり、フェスで何とか入っていくしかないところですが、この会場だと遅めにチケット取ってもアーティストを肉眼で確認できるので、ここは良い場所だなあと感じるものです。

18時10分過ぎくらいにライブがスタート。「Wartzinblack」でメンバー4人が入場し、ジャン・ジャック・バーネルがいきなり「こんにちわ!」と挨拶。今時、「こんにちわ!」という洋楽アーティストなんてあまりいないと思いますが、久々の日本公演を楽しみにしていたようでした。

ということで最初は1978年リリースの「Black and White」から「Toiler on the Sea」からスタート。この曲のイントロは2分近くと長いですが、ゴリゴリとしたベースから始まり、心地いいキーボードがたまらないですが、外国人のお客さんが多いのか、イントロのキーボードに合わせて歌ってていい雰囲気でした。サッカーのチャントに近いノリになってしまいます。

続いてアップテンポの曲が続きます。ストラングラーズの全盛期は80年前後くらいですが、 「I’ve been Wild」(2004年)、「Grip」(1977年)、「Time to Die」(1992年)、「Nice Sleazy」(1978年)、「Norfolk Coast」(2004年)、「5 Minites」(1977年)、「Unbroken」(2006年)と、往年の曲と最近の曲が交互に演奏されていました。ストラングラーズの今も昔も使用する楽器自体はさほど変わらないのか、新旧が交互しても違和感が感じないのが面白いものです。

一通り演奏すると、ベースのJJバーネルが「熱いね」と一言。空手の仕事で来日することもあるのか、日本語少し話せるのですね。彼。ちょっと怖いイメージもありますが、やたらとニコニコしていたので、本人も日本でのライブを楽しみにしていたのだろうなあと感じたものです。

そして「Golden Brown」。パンクムーブメントが過ぎた1981年にリリースされた曲ですが、とにかくキーボードのデイヴのイントロからして綺麗な曲です。激しいのが好きなパンクキッズたちは離れてしまったようですが、逆にこのバンドの音楽的な幅広さを感じさせられる曲です。その頃にリリースされた「Always the Sun」「Skin Deep」と続きます。「Always the Sun」はサビとのころはみなさん合唱してましたなあ。

そして、ベースがかっこいい「Peaches」の後は、初期の「Outside Tokyo」、これは普段のライブ映像ではほとんどヒットされず、アルバム「Black And White」の再現ライブで演奏されたくらいですが、来日のサービスといったところでしょうか。

ちなみに翌日以降のライブには「Death and Night and Blood(Yukio)」を演奏。JJバーネルが敬愛する三島由紀夫について歌った曲です。これは聴きたかった…。

ライブは終盤に差し掛かり、最新アルバムから「Freedom is Insane」、初期にリリースされたディオンヌ・ワーウィックのカバー曲「Walk On By」と続き、ストラングラーズの代表曲である「Something Better Change」。この曲は初来日で3回連続演奏した後に「お前ら何ヘラヘラ笑ってるだ!」と激怒したらしい(笑)

そして、僕がこのバンドが好きになったきっかけとも言える2006年の「Relentless」。割と新しい曲も結構演奏してくれる上に、往年の曲もまだまだやっていないので、正直演奏しなくてもおかしくないかなと思っていたら、後半に取っておいてくれていました。後からいろんな方の感想を見ましたが、最近のストラングラーズを知らない人にも、この曲は感動したというツイートを見ました。シンプルなリズム隊がかっこいいんですよ…。

そして「Hanging Around」「Tank」と往年の名曲を演奏し、まずは本編は終了。一旦メンバーが下がり、この後はアンコール。まずは「Duchess」が演奏された後は、最後はやはりこの曲「No More Heroes」でライブは終了しました。

約1時間半のライブでしたが、映画館跡地の会場だったり、外国人客が多かったり、ステージから3列目くらいだったりなど、いろいろありましたが、やっぱりライブはたまらんですね。ゴリゴリっと迫ってくるようなベース音は生で聴きたかったし、ピロピロっと挟んでくるキーボードが対照的で楽しいですが、パワフルで締まったジム・マコウリーのドラムもとても印象的でした。もちろんバズ・ワーンのギターとボーカルも。みんなキャラ立ちして、組み合わさった感じも楽しい。終始興奮しっぱなしでした。

かつての伝説や最近のキレている動画も見たこともあって、ちょっと心構えしてライブへ行きましたが、終始笑顔でやってましたね。普段はサッカーのことしか書かないブログですが、書かずにいられませんでした。

ちょっと心残りがあるとしたら、「Raven」や「Death and Night and Blood」は聴きたかったので、もう1日は見たかったし、1日のどちらかはアップグレードチケット買えばなあ…と思いましたが、それは次回の楽しみにしましょう。

ストラングラーズのみなさん、来日公演に関わったスタッフの方々、そして一緒に盛り上げていた観客のみなさん、どうもありがとうございました。

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Posted by shevkengo