2018-2019ベルギーリーグプレビュー Vol.10 KVオーステンデ

ベルギーリーグプレビュー第10回目。今回はクラブオーナーが代わり、再スタートとなったKVオーステンデです。

所属選手

※赤文字は新加入、青文字は期限付き移籍
9月23日現在

GK

1 ファブリス・オンドア カメルーン 1995.12.24(22歳)
28 ヴィリアム・デュトワ フランス 1988.3.9(30歳)
30 トマス・デ・ビエ ベルギー 1997.1.29(21歳)

DF

3 ローレンス・デ・ボック ベルギー 1992.11.7(25歳)
4 ヴォウト・ファース ベルギー 1998.4.3(20歳)
5 ゴラン・ミロヴィッチ クロアチア 1989.1.29(29歳)
6 ニコラス・ロンバールツ ベルギー 1985.3.20(33歳)
16 アレクサンダル・ビエリツァ セルビア 1994.1.7(24歳)
22 ロガン・エンデンベ ベルギー 2000.2.8(18歳)
27 ブレヒト・カポン ベルギー 1988.4.22(30歳)
33 ザルコ・トマシェヴィッチ モンテネグロ 1990.2.22(28歳)

MF

8 フランソワ・マルケ ベルギー 1995.4.17(23歳)
11 インディ・ボーネン ベルギー 1999.1.4(19歳)
12 エマニュエル・バンダ ザンビア 1997.9.29(20歳)
14 アリストテ・エンカカ ベルギー 1996.7.1(22歳)
17 ジョルディ・ヴァンレルベルゲ ベルギー 1996.6.27(22歳)
20 ミシェル・ヨンケーレ ベルギー 1990.1.3(28歳)
25 イェレ・バテール ベルギー 1999.4.20(19歳)
26 ケヴィン・ヴァンデンドリーシェ フランス 1989.8.7(29歳)
29 ロビー・ダーセ ベルギー 1999.2.25(19歳)
43 サンデル・コープマン 1995.3.12(23歳)
55 フェルナンド・カネシン ブラジル 1992.2.27(26歳)

FW

7 ファション・サカラ ザンビア 1997.3.14(21歳)
9 リカルド・ジブコヴィッチ オランダ 1996.9.5(22歳)
10 シンドリッド・グリ アルバニア 1993.10.28(24歳)

監督

ゲルト・ヴェルヘイエン ベルギー 1970.9.20(48歳) 新任

移籍

加入

GK ファブリス・オンドア(セビージャ・アトレティコ/スペイン)
DF ローレンス・デ・ボック(リーズ/イングランド)
DF ヴォウト・ファース(アンデルレヒト)
DF ゴラン・ミロヴィッチ(重慶斯威/中国)
MF インディー・ボーネン(マンチェスター・ユナイテッド/イングランド)
MF サンデル・コープマン(クルブ・ブルッヘ)
MF フランソワ・マルケ(ワースラント・ベフェレン)
MF ジョルディ・ヴァンレルベルゲ(クルブ・ブルッヘ)
FW ファション・サカラ(スパルタク・モスクワ/ロシア)
FW シンドリッド・グリ(クケシ/アルバニア)

放出

GK マイク・ヴァンハメル(ベールスホット・ウィルライク)
DF ロッキー・ブシリ(オイペン)
DF マティアス・ボサールツ(NEC/オランダ)
DF ダヴィド・ロゼフナル ※引退
DF ラミン・レザイアン
DF アントニオ・ミリッチ(アンデルレヒト)
MF フランク・ベリエ(メヘレン)
MF アンディル・ジャリ
MF ニコラス・ライセル(ルーセラーレ)
MF ヴィクトル・ヴァンデヴィール
FW ジーノ・ガノ(ゲンク)
FW ノーリッジ・ムソナ(アンデルレヒト)
FW ジョセフ・アクパラ(アル・ファイサリー/サウジアラビア)

ベルギーの海の入口、オーステンデ

ベルギー西部、ウェスト=フランデレン州の地方都市オーステンデ。9世紀から漁村として栄えたが、16世紀に要塞が築き、1720年にオーステンデ会社が設立された後は、インド・アフリカ貿易でロンドンやアムステルダムをも匹敵するほど反映しました。ベルギーが独立した19世紀以降は、海洋保養都市として栄え、海水浴場、カジノ、温泉施設が整備されました。伊勢エビ、牡蠣など、海産物が名産となっています。

港町のクラブ、KVオーステンデの設立は、1904年にVGオーステンデとして設立。主に3部を中心に活動するクラブで、トップリーグとは無縁のクラブでした。1981年に同じオーステンデをホームとする、ASオーステンデと合併。合併後、10年目に3部リーグを優勝。翌年の2部では3位になり、1993年にクラブ史上初のトップリーグ昇格を果たします。しかし、1部リーグの壁が厚く、オーステンデは昇格するたびに跳ね返され続きました。

マルク・クッケの買収をきっかけに新興勢力に

2012-2013シーズンにオーステンデは2部で優勝を果たし、4度目の1部昇格を果たします。しかし、昇格しては1年で降格を繰り返すオーステンデは、シーズン前から補強が上手くいかず、2013-2014シーズンでも降格最右翼と見られていました。

移籍マーケット締切1週間前の8月23日、当時のオーステンデのオーナー、イェヴ・レヤーゲレは、クラブの身売りを発表しました。その相手は、ベルギー製薬業界最大手のオメガファーマの創業者で、自転車ロードレースのオメガファーマ・クイックステップなどのオーナーを務めた、マルク・クッケがクラブオーナーに就任。ベルギーを代表するスポーツビジネスマンが、サッカーに参入してきました。

移籍期限ギリギリに、2012-2013シーズンでズルテ・ワレヘムを2位に導いた、フランス人MFフランク・ベリエを引き抜くと、開幕6連敗を喫したチームは一気に浮上し、最終的には残留争いとは無縁の9位で終了。翌2014-2015シーズンは、ジョルダン・ルカク、フェルナンド・カネシンなどのアンデルレヒトの余剰戦力を獲得。10位で終了。3年目にはコルトライクをプレーオフ進出に導いた、イェヴ・ヴァンデルハーゲを引き抜き、2015-2016、2016-2017シーズンと2年連続でプレーオフに進出。スタジアムもUEFAの基準に合わせ改装し、トップ5に食い込むほどの力をつけてきました。

若手選手の受け入れ先に

上昇気流に乗るオーステンデに、昨年11月にクラブに激震が走る出来事がありました。クラブオーナーを務める、マルク・クッケがアンデルレヒトの買収を発表。ベルギーリーグは同一カテゴリー内で、複数のクラブを所持することができないため、オーステンデを手放すことになりました。

オーステンデを手放さないと、アンデルレヒトの会長に就任できないため、新たなオーナーを探すことになったクッケ氏。一時期は、マンチェスター・シティ、ニューヨークシティFCなどを傘下に置き、横浜F・マリノスの少数株主のシティ・フットボール・グループによる買収が噂されたが、クッケ氏と共にオメガファーマ・ロットの運営に携わり、ベルギー国内の総合商社である「カラント・ヴェルゼケリンゲン&ファイナンシャル・アドバイス」のオーナーを務める、ピーター・カラント氏に売却。オーステンデは新たなオーナーの下で、ユニフォームカラーを黄色に変更し、再スタートを切ることになりました。

マルク・クッケ氏がオーナーを務めていた頃は、欧州カップ戦も視野に置く、野心的な姿勢を示しながらも、国内ビッグクラブに所属する出場機会が少ない若手選手の受け入れ先になっていたオーステンデ。DFトマス・フォケ、ジョルダン・ルカクは、オーステンデで出場機会を得て、ベルギー代表にまで選出される選手に成長しました。ピーター・カラント氏が就任した後も、その路線は変わらず、MFアリストテ・エンカカ、ジョルディ・ヴァンレルベルゲ、DFヴォウト・ファースなど、20歳前後の若手選手を受け入れています。

フォーメーション

上は第4節のズルテ・ワレヘム戦。

昨シーズンは序盤に崩れ、良いところがなかったオーステンデ。今シーズンからは、U-18ベルギー代表監督を務めていた、ゲルト・ヴェルヘイエン監督が就任。90年代~2000年代のクルブを代表する選手で、2002年W杯にも出場。2006年に現役引退後は、クルブの下部組織で指導し、2013年からU-19ベルギー代表を指揮。引退後12年でトップチームの監督に就任した、下積みが長い指導者です。

今季のオーステンデは、3-4-2-1を主に採用。メンバーのほぼ半数が入れ替わったが、DFトマシェヴィッチ、カポン、MFフェルナンド・カネシン、ヴァンデンドリーシェなどの古株が健在。攻撃的な試合を好み、ウイングバックのビエリツァ、カポンが積極的に前線へ飛び込むため、攻撃時には5トップのような形で人数かけて仕掛けてきます。攻撃力では上位にも通用するレベルにあるでしょう。

攻撃的な試合を好むため、守備陣は手薄になりがちで、無失点で終えた試合が1試合のみと、守備面には大きな課題を抱えています。U-21代表に名を連ねる、DFファース、MFヴァンレルベルゲ、エンカカ、カメルーン代表の若手GKオンドアなどの奮闘が鍵を握ります。

注目選手

MF アリストテ・エンカカ

U-21ベルギー代表でも活躍する、ムスクロンの下部組織出身の21歳のセンターハーフ。今年1月にムスクロンから加入以後にレギュラーを確保し、フィジカルが強く、ボール奪取力に優れ、視野の広さを活かした長短のパスで攻撃陣を操る、オーステンデの核。今シーズンは、クルブで出場機会を減らした、同年代のジョルディ・ヴァンレルベルゲが加入しており、同じくU-21代表同士で激しいポジション争いを演じています。来シーズンから、アンデルレヒトへの移籍が決定済み。

DF ヴォウト・ファース

アンデルレヒトの下部組織出身で、現U-21代表のセンターバック、ヴォウト・ファース。トップチームに昇格以降は、オランダのヘーレンフェーン、エクセルシオールへ期限付き移籍し、昨シーズンはエクセルシオールで19試合出場。今シーズンからは、大刷新のアンデルレヒトには戻らず、オーステンデへ完全移籍。開幕からレギュラーで活躍しており、3バックの中央でプレーし、第5節のズルテ・ワレヘム戦では、セットプレーからプロ初ゴールを決めています。

FW ファション・サカラ

ロシアの名門スパルタク・モスクワから移籍してきた、ザンビア代表の21歳のストライカー、ファション・サカラ。昨シーズンは、主にスパルタク-2・モスクワ(セカンドチーム)でプレーし、31試合10得点と活躍。今季の目玉補強として、オーステンデへ完全移籍を果たしました。跳躍力、スピードともに優れたアタッカーで、スパルタク-2では鋭い飛び出しと、クロスからの跳躍力の高いヘディングからゴールを決めています。ゲンクに引き抜かれたガノの後釜として期待がかかります。

 

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