2018-2019ベルギーリーグプレビュー Vol.9 セルクル・ブルッヘ

2018-09-23

第9回目のベルギーリーグプレビュー。今回は昨シーズンの2部優勝チームで、今季からは日本代表DF植田直通がプレーしている、セルクル・ブルッヘです。

現所属メンバー

※赤文字は新加入、青文字は期限付き移籍
2018.9.22現在

GK

1 ポール・ナルディ フランス 1994.5.18(24歳)
16 ミゲル・ヴァン・ダンメ 1993.9.25(25歳)
25 ブライアン・ヴァンデンブッシェ 1981.9.24(36歳)

DF

2 ピエール=ダニエル・エンギンダ カメルーン 1996.6.18(22歳)
4 ジェレミー・タラヴェル フランス 1987.4.17(31歳)
8 ロイド・パラン ガボン 1988.11.28(29歳)
17 ヨアン・エティエンヌ フランス 1997.7.19(21歳)
19 バンジャマン・ランボ ベルギー 1987.5.2(31歳)
24 植田直通 日本 1994.10.24(23歳)
28 バンジャマン・ドゥラクール フランス 1985.9.10(33歳)
29 ヴィチーニョ ブラジル 1999.7.23(19歳)
30 アブドゥ・オマル ケニア 1992.9.9(26歳)
32 ロビー・ドゥコステーレ ベルギー 1998.5.8(21歳)

MF

5 イサック・コネ コートジボワール 1991.1.3(27歳)
10 シャヴィエル・メルシエ フランス 1992.11.8(25歳)
15 ジョアンナ・オモロ ケニア 1989.7.31(29歳)
20 ケヴィン・オッガス フランス 1991.11.16(26歳)
21 アルノー・ルサンバ フランス 1997.1.4(21歳)
26 ケヴィン・アッパン フランス 1998.1.20(20歳)
31 シャルル・ヴァンオーテ ベルギー 1998.9.16(20歳)
33 アンディ・コッシ ベルギー 2001.2.17(17歳)

FW

6 セルジュ・ガクペ トーゴ 1987.5.7(31歳)
7 ジョナタン・ファリアス アルゼンチン 1998.3.27(20歳)
9 ジャンニ・ブルーノ ベルギー 1991.8.19(27歳)
11 ゲヴァン・トルマン フランス 1997.11.28(20歳)
12 ディラン・デ・ベルデル ベルギー 1992.4.3(26歳)
13 キリアン・アザール ベルギー 1995.8.5(23歳)
14 アルヴァン・カルドナ フランス 1997.8.8(21歳)
18 ナビル・アリウイ フランス 1999.2.18(19歳)
22 アンダーソン・ロペス オランダ 1999.1.25(19歳)
23 フランク・イリエ コートジボワール 1998.5.15(20歳)
27 アドリアン・ボンジョヴァニ ベルギー 1999.9.20(19歳)

監督

ローラン・ギヨ フランス 1969.12.17(48歳)

移籍


青文字は期限付き移籍
緑は期限付き移籍満了
紫は期限付き移籍→完全移籍

加入

GK ポール・ナルディ(モナコ/フランス) ※延長
DF 植田直通(鹿島アントラーズ/日本)
DF ヨアン・エティエンヌ(モナコ/フランス)
DF ピエール=ダニエル・エンギンダ(モナコ/フランス)
DF アブド・オマル(スラヴィア・ソフィア/ブルガリア)
MF ゲヴァン・トルマン(モナコ/フランス) ※延長
MF ケヴィン・アッパン(モナコ/フランス)
MF アドリアン・ボンジョヴァニ(モナコ/フランス)
MF キリアン・アザール(チェルシー/イングランド)
MF フランク・イリエ(モナコ/フランス)
MF アンディ・コシ(PSV/オランダ)
MF ヴィチーニョ(クルゼイロ/ブラジル)
MF アルノー・ルサンバ(ニース/フランス)
FW ナビル・アリウイ(モナコ/フランス)
FW アルヴァン・カルドナ(モナコ/フランス) ※延長

放出

DF ジョルディ・ガスパール(モナコ/フランス)
DF エルデルソン・エチエジレ(モナコ/フランス)
DF ウェズレイ・ヴァンベル(ロメル)
DF エクトル・ロダス(アルコルコン/スペイン)
DF カルラン・アルキュス(オセール/フランス)
DF エマニュエル・イモルー(カーン/フランス)
DF ニールス・クーセメント(ズヴェヴェザル)
MF トリスタン・ムユンバ(モナコ/フランス)
MF カレル・ヴァン・ローセ(リールセ・ケンペンゾネン)

MF クリストフ・ヴァンサン
MF クレイサン(アトレチコ・パラナエンセ/ブラジル)
MF ハビエル・ガルシア・ギエン
MF ギヨーム・デ・スフレイヴェル(ウェステルロ)
FW ステファン・バイル(ウェステルロ)

戦前に優勝経験がある古豪

創設は1899年。サッカー、クリケット、テニス、陸上競技、自転車の5種目の総合スポーツクラブとして設立されました。翌年の1900年にベルギーサッカー協会に加盟し、リーグ初年度は9チーム中、9位の最下位で終了。同じくブルッヘのヤン・ブレイデルスタディオンをホームとする、クルブ・ブルッヘとは、初年度から対戦しており、初試合は0-0の引き分けで終えています。

1910-1911シーズンにリーグ初優勝。第一次大戦後に再開された国内リーグでは、1926-1927シーズン、1929-1930シーズンで優勝を果たしており、第二次大戦前では、国内リーグのトップを争うクラブでした。

第二次大戦後は、2部~3部を彷徨い、チームは低迷したものの、1961年に1部リーグに復帰。しかし、1966年にリールセとの試合で八百長試合が発覚し、3部リーグに降格。同じブルッヘをホームとするクルブが、ベルギーを代表するクラブに成長する中、セルクルは低迷していました。

1971年に1部に復帰してからは、安定して1部リーグに在籍し続けるが、1997年に降格した後は、1部復帰まで6年を要しました。復帰後も2007-2008シーズンの4位が最高順位だったが、ほとんどが残留争いに巻き込まれ、2014-2015シーズンには最下位で終了し、ついに降格。クラブも近年は財政難に喘ぎ、存続危機に陥っていました。

ASモナコによるクラブ買収

2016-2017シーズン、財政難に喘ぎ、クラブも3部降格危機に陥っていたセルクル。そのセルクルの危機に、フランス・リーグアンの強豪ASモナコが買収に乗り出し、2017年2月に正式にASモナコオーナーになりました。

2017年夏、クラブは大刷新を行い、オーナークラブであるモナコから、5人の選手が加入。他には2016-2017シーズンの2部得点王のFWデ・ベルデル、ディナモ・ザグレブでも活躍したフランス人DFタラヴェル、フランス・リーグアンでも実績があるFWジャンニ・ブルーノなど、国内外から多くの選手をかき集め、20名を超える選手がセルクルに加わりました。

シーズン当初はチームは低迷。昇格を掲げたシーズンだったが、わずか11試合で当時の監督、ジョゼ・リガ氏は解任され、2010-2011シーズンにゲンクを優勝に導いた、フランキー・ヴェルカウテレン監督が就任。以後チームは復調し、セカンドステージを優勝すると、ベールスホット・ウィルライクとの優勝プレーオフでは、ファーストレグを0-1で落としたが、セカンドレグを3-1で勝利し、優勝を果たし、4シーズンぶりの1部復帰を達成しました。

4年ぶりにトップリーグに戻ってきたセルクルは、昨シーズンに引き続き、GKナルディ、FWトルマン、カルドナが期限付き移籍延長。今季はDFエティエンヌ、MFアッパン、FWアンダーソン・ロペス、ボンジョヴァニがモナコから期限付き移籍で加わり、まさに「ASモナコベルギー支部」と言えるクラブになりました。

鍛錬を積み重ねる植田直通

今シーズンからセルクルに加入した植田直通。今年のW杯メンバーに選出され、直前のパラグアイ戦に出場するも、本大会では出場機会はありませんでした。

「スピードもあって、パワーもあって、激しい」を求めて、日本のトップクラブの鹿島アントラーズから移籍を決めた植田。平均身長が高いベルギーは、Jリーグよりも一回り大きな選手が多く、チームメートのDFジェレミー・タラヴェル(191cm)、DFバンジャマン・ランボ(189cm)は、植田よりも更に大柄な体格を誇ります。

実質、外国人枠がないベルギーリーグ。ベルギーに優秀なセンターバックがいなかったとしても、隣国のフランス、安価な移籍金で獲得できる東欧のクラブなどから、選手を獲得することが多いため、サイズで劣る日本人センターバックの需要はあまり高くありません。契約満了した選手なら、今までの傾向から、ドイツのクラブなどは獲得するかもしれませんが、移籍金を払ってまで獲得となると、欧州でもなかなか見られないかもしれません。

オーナーのASモナコは、伝統的に育てて売る方針であり、ベルギー支部であるセルクルも同様の方針で運営していると思われます。フランス・リーグアンは、アジア枠を導入する方針だけに、上手くいけば、親クラブであるモナコへの移籍も・・・ありうると思いますが、他のフランスのクラブに売るのも考えられます。やや実験的な印象はあるかもしれませんが、欧州で活躍する日本人選手の大半が2列目で、守備の選手は少ない現状を考えると、「日本にはない激しさ」を求める選手にとっては、めったにないチャンスではないかと思います。

現状、植田は移籍後すぐにレギュラーを獲得するわけではなく、ベルギーリーグを長く戦ってきている、DFバンジャマン・ランボ、DFジェレミー・タラヴェルのベテラン2人とのポジション争いで勝たなければなりません。ランボはモナコによる買収前からも在籍するキャプテンで、タラヴェルはトップ6の常連だった頃のロケレンの主力であり、クロアチアの名門ディナモ・ザグレブでも活躍しており、チームでの言語であるフランス語を話せない植田にとっては、決して楽でもありません。STVVの冨安も試合出場まで半年かかっている現状を考えれば、環境に慣れるまで、若干時間はかかるかもしれません。

ランボ、タラヴェルについでの3番手が、今の植田の立ち位置とも言えますが、ローラン・ギヨ監督が率いるチームは、3バックも併用しており、ランボはアンカーでもプレーすることが多いため、随時レギュラーとはいかなくても、出場機会は着実に増やしてきています。シーズン中に序列が代わることを期待したいところです。

フォーメーション

上はゲント戦。試合中にシステムは良く変えるので、毎試合違うことが多いですが、基本的には4-3-1-2を採用することが多い模様。昇格組の宿命なのか、守備に負われることが多く、カウンター狙いの試合が多くみられます。

俊足のブルーノ、トルマンが現状では得点源で、トップ下のメルシエが供給源となっているのがセルクルの攻撃だが、昨シーズン、チームを牽引した、センターフォワードのアルヴァン・カルドナの出遅れが響いたのは、攻撃が単調になりやすい傾向にあります。

注目選手

GK ポール・ナルディ

フランスの年代別代表でもプレーしてきた、24歳のGKポール・ナルディ。ナンシーの下部組織出身で、リーグ・ドゥでもすでに60試合以上の出場数を誇るGKだが、移籍したモナコではクロアチア代表GKダニエル・スバシッチの牙城を崩すことができず、2017年冬にセルクルへ期限付き移籍。ポテンシャルが高く、次世代のフランス代表の呼び声もあり、リーグアンのクラブも興味を示すものの、今季もセルクルでプレーすることになりました。

FW ジャンニ・ブルーノ

フランスのリール、バスティア、エヴィアン、ロリアン、ロシアのクリリヤ・ソヴェトフでもプレーした経験豊富な27歳のイタリア系ベルギー人のストライカー。所属元のエヴィアンが財政難によりアマチュアカテゴリーに降格したため、昨シーズン、セルクルに加入。バスティア時代はセンターフォワードで起用され、2013-2014シーズンは8得点を記録。両ウイングでもプレーができ、スピードを活かした突破力で、カウンターアタックの鍵を握ります。

FW アルヴァン・カルドナ

昨シーズン、モナコから期限付き移籍で加入し、エースストライカーとして昇格に貢献した、21歳のセンターフォワードのアルヴァン・カルドナ。強靭なフィジカルを活かした、強引に突破するさまは、所属元のモナコのラダメル・ファルカオを彷彿とさせるセンターフォワードです。今シーズンもエースストライカーとして期待されるも、肉離れにより、シーズン序盤は出場機会は無し。復帰後のブレークに期待がかかります。

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