近年のKAAゲントを振り返る

日本では久保裕也が移籍した後のことだけが取り上げられることが多いので、おさらいも含めて、ここ数年のゲントについて振り返ってみようかと思います。

 

上位を争うものの、なかなかタイトルが届かず

まずは、久保が移籍してくるまで、ゲントについては、あまり日本では知られていなかったクラブだと思います。このクラブのベルギーでの立ち位置や、少し深い話に踏み込んでみようと思います。

ゲントのここ10年の成績

2006-2007 4位
2007-2008 6位
2008-2009 4位
2009-2010 2位
2010-2011 5位
2011-2012 4位
2012-2013 12位
2013-2014 7位
2014-2015 優勝
2015-2016 3位

ここ10年で見ると、4~6位くらいが多いチームです。2000年代でのベルギーリーグは、アンデルレヒト、クラブ・ブルッヘ、スタンダール・リエージュ、ゲンクの4強がリーグタイトルを争う状況が続いており、そこにゲントが割って入ろうかとするくらいのクラブでした。

2008年にスタンダール・リエージュの監督を辞任した、ミシェル・プロドームが監督に就任すると、優勝を争うクラブになり、現コスタリカ代表FWブライアン・ルイスを中心とし、4位、2位と安定した成績を収めます。プロドームは2010年にオランダのトゥエンテへ去ってしまうものの、その後、フランキー・デュリー、トロント・ソリードが監督に就任し、それぞれが5位、4位と上位を争うクラブとして安定した結果を残します。

しかし、2012-2013シーズンは苦戦を強いられ、監督交代を二度も行うなど、チームは極度の不審に陥ります。2013-2014シーズンも、新スタジアムの「ゲラムコ・アレナ」が開場になるものの、序盤から不振に陥り、当時のゲントの監督だった、ビクトル・フェルナンデスは解任。その後は、ルーマニア人のミルチェア・レドニクが就任するも、チームは浮上せず、2年連続でプレーオフ進出を逃します。

ヴァンハーゼブルック就任で最盛期に

2年連続の不振にあえぐゲントは、2014-2015シーズンから、新監督にハイン・ヴァンハーゼブルックを招聘。2部が定位置だった、故郷のクラブ、KVコルトライクを、1部の中堅クラブに育て、ベルギーでは珍しい3バックを使う指導者として注目され、2011-2012シーズンには、ベルギーリーグ最優秀監督に選ばれているが、再建のため故郷コルトライクから離れることになりました。

このシーズンのゲントは、コルトライクでヴァンハーゼブルックの指導を受け、当時ズルテ・ワレヘムに所属していた、パサーのMFスヴェン・クムス、オーステンデのFWローラン・ドゥポワトルを始めに、積極的に補強。標榜するポゼッションサッカーが機能し、開幕からトップ争いを演じます。レギュラーシーズンを2位で終了すると、プレーオフでは首位の「フランデレンの宿命のライバル」クラブ・ブルッヘを抜き、創設115年で初優勝を果たします。


更に翌シーズン、初出場となるUEFAチャンピオンズリーグでは、ゼニト・サンクトペテルブルク、バレンシア、リヨンと同組に入り、守備の要のイスラエル代表DFラミ・ゲルションを、右足十字靭帯断裂の大怪我で欠いたが、第3戦まで勝ち点1の最下位に沈むもの、第4戦のバレンシア戦(1-0)、第5節のアウェーのリヨン戦(2-1)、第6節のゼニト戦(2-1)で勝利し、1990年にチャンピオンズリーグが始まって以来、ベルギー勢としては初のベスト16に進出する快挙を果たします。

チームの充実っぷりは、選手にも影響を与え、FWローラン・ドゥポワトル、MFスヴェン・クムス、GKマッツ・セルスは、ベルギー代表に初選出されます。チームは2015年末で、首位で折り返し、2015年はゲントにとって、歴史に残るシーズンとなりました。

2015年のベルギーリーグの最優秀選手に表彰される、ベルギーの国内誌「ヘット・ラートステ・ニェウス」主催の「ゴールデンシュー」では、1位にクムス、2位にドゥポワトル、3位にMFダニイェル・ミリチェヴィッチが受賞し、1位から3位までゲント勢が独占を果たしました。

2016年に入ってから、ギリギリの選手層でやりくりしていたチームのコンディションに陰りが見え始め、冬の補強の失敗、主力のMFブレヒト・デヤーゲレがシーズン絶望の大怪我を負うなど、厳しい戦いを強いられ、プレーオフはクラブ・ブルッヘの逆襲を食らい、2連覇は果たせませんでした。

主力離脱に苦しめられ

3位で終了した2015-2016シーズン後、ベルギー代表にまで成長した守護神マッツ・セルスは、イングランドのニューカッスルへ移籍。シーズン開幕直後は、2年連続のチーム得点王FWローラン・ドゥポワトルはポルトへ、チームキャプテンのMFスヴェン・クムスはウディネーゼへそれぞれ移籍します。

近年の躍進により、マルク・ヴィルモッツ監督の解任以後のベルギー代表監督として、就任が噂されたヴァンハーゼブルックだが、このシーズンはゲントに残留。しかし、ベルギー代表に選出されるほどの実力者3人が支えていたセンターラインを失ったゲントは、ベルギー屈指の指導者であるヴァンハーゼブルックでさえも上手くいかず、シーズン当初からトップ争いから遠ざかり、2016年末で7位と苦戦を強いられます。昨シーズンのベルギーリーグ得点王で、ビジャレアルで二桁ゴールを奪ったこともある実力者ジェレミー・ペルベが加入するものの、上手くフィットしなかったのも一因といえるでしょう。

国内リーグの不振の中、ヨーロッパリーグでは、予備予選を順調に勝ち上がり、ELのグループステージでは、ウクライナの強豪シャフタール・ドネツク、ポルトガルのブラガ、トルコのコンヤスポルと同組になり、厳しい戦況を予想されたが、ブラガの勝ち点を上回り、ELベスト16に進出します。

冬の補強が当たり、逆転でプレーオフへ

12月の未勝利が響き、プレーオフ行きを目指した戦いを強いられることになったゲントは、冬のマーケットで大量獲得を敢行。ハイデュク・スプリトからクロアチア代表GKロヴレ・カリニッチ、コルトライクからDFサミュエル・ジゴとMFビルゲル・ヴェルストラーテ、スロヴァキアのトレンチーンからナイジェリア人MFサミュエル・カルー、ヤングボーイズから日本代表FW久保裕也などを獲得します。

大量獲得に刺激を受けたメンバーも、ヨーロッパリーグで奮闘し、決勝トーナメント1回戦で対戦することになった、イングランドのトットナム・ホットスパー戦では、ホームでは1-0、アウェーのウェンブリーでは2-2の試合を演じ、ELでもベスト16に進出します。スパーズ相手に2得点の活躍のジェレミー・ペルベはようやくチームに馴染んできました。CFにペルベ、トップ下に久保裕也というポジションを確立させたゲントは、レギュラーシーズンのラスト3試合を、両選手のゴールで、4位に浮上。逆転でプレーオフ1進出を果たしました。

今年に入ってから、主力のミリチェヴィッチ、レナト・ネト、アサレなどの負傷離脱が目立ったゲントだが、久保やカルの活躍で、面白い存在になってきたかと思います。

とりあえず振り返ってみました。今後は選手についても、触れていきたいと思います。

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KAA Gent

Posted by shevkengo