鹿島アントラーズの監督に就任したレネ・ヴァイラーについて

取説を書く書く…と言い続けながら、なかなか手をつけることができず、とうとう年末になってしまいました。申し訳ありません。

鹿島アントラーズの新監督に、元アンデルレヒトのスイス人監督、レネ・ヴァイラー氏が就任することになり、一時期、当ブログのアクセスが結構集中していました。Twitterで「どんな監督?」とよく聞かれることもあったので、ブログで書いておこうと思いつつも、なかなか進まず、年末まで入ってしまいました。

アンデルレヒトでの様子でしか、当ブログで紹介することができませんが、ご参考になれば…と思います。

2016年にアンデルレヒトの監督に就任

アンデルレヒトの監督に就任したのは、2016年6月中旬。当時はニュルンベルクの監督を務めており、昇格をあと一歩でのがしたが、卓越した戦術により高評価を受け、3シーズンぶりの優勝をヴァイラー氏に託しました。

そして、優勝を狙うべく、アンデルレヒトは、メヘレンから前年シーズンでエボニーシュー(最優秀アフリカ系選手)に受賞した、アルジェリア代表MFソフィアン・アンニ、ウクライナのディナモ・キエフからポーランド代表FWウカシュ・テオドルチク、ルーマニアのCFRクルージュからルーマニア代表FWアレクサンドゥル・キプチュ、ルーマニアのステアウア・ブカレストからルーマニア代表MFニクラエ・スタンチュを獲得するなど、大型補強を行っていました。

当時のフォーメーション

当時のアンデルレヒトのフォーメーションはこちらです。

シーズン序盤は、鳴り物入りで加入していたルーマニア代表MFスタンチュや、当時ベルギーのU-21代表だったGKダヴィ・ルーフなど起用されていたが、シーズンが進むことによって、メンバーはこのような形に固定されるようになりました。

当時のアンデルレヒトは、現ベルギー代表の主力メンバーとして名を連ねている、ユーリ・ティーレマンスとレアンデル・デンドンケルが在籍しているように、戦力的にはベルギーリーグトップクラスの実力を誇っており、このシーズンで参加していたヨーロッパリーグでは、ドイツのマインツ相手に6-1で圧倒する試合があるほど、非常に強力なメンバーが揃っていました。

中でも強烈な輝きを発揮したのは、ディナモ・キエフから移籍してきたポーランド代表FWウカシュ・テオドルチクで、前半戦だけで16ゴールを叩き出しており、僅か半年の所属ながら、2016年のベルギーリーグの最優秀選手に与えられる「ゴールデンシュー」での投票で2位になるなど、破壊的な得点力を発揮していました。テオドルチクの得点力を支えるアルジェリア代表MFソフィアン・アンニの存在も大きく、アンデルレヒトのセンターラインは、ベルギーリーグ最強の実力を誇っていました。

戦術面では平凡で不評

戦力的な充実っぷりが目立つ一方で、監督のレネ・ヴァイラーの評価は、決して芳しいものではありませんでした。

抜群のタレントが揃う一方で、戦術面では堅守速攻がメインで、ティーレマンスの縦パスを、フィニッシャーのテオドルチクが決めるというパターンが多く、決してアグレッシブなスタイルだったとはいえないチームでした。

アンデルレヒトのみならず、ベルギーリーグのサポーターは、攻撃的な試合を好む傾向がありました。2010年度では、アンデルレヒトを率いたヤン・ファンデンブロム監督の攻撃的なスタイルが非常に好評で、UEFAチャンピオンズリーグでホームで0-5で大敗した試合であっても、サポーターは「勇敢に戦った」と称賛するほどでした。攻撃的なスタイルを好むアンデルレヒトのサポーターの性格と、堅実なスタイルで勝利を勝ち取っていくレネ・ヴァイラー監督は、あまり相性の良いものではなかったと言えるでしょう。

アンデルレヒトでのスタイルを見ている限りは、現代のフットボールのように、最終ラインから繋いでいって、5レーンで崩していったり、位置的優位性を取りながら崩していくという、モダンなスタイルはあまり期待ができず、むしろタレント力で殴っていった印象の強かったのが、正直なところです。

ティーレマンス移籍後に手詰まりに

ベルギーリーグ屈指のタレント力を前面に出しながら、堅実な試合運びで2016-2017シーズンを制したレネ・ヴァイラー率いるアンデルレヒトだったが、大黒柱のユーリ・ティーレマンスは、シーズン終了後にモナコへ移籍。

後釜にベルギー代表経験があり、2014-2015シーズンにヘントを優勝させた立役者のスヴェン・クムスを獲得したが、配給役にアシストまでティーレマンスに大きく依存していたチームは一気に低調に。特に前年シーズンで活躍していたFWテオドルチクが不調に陥り、アンデルレヒトの勝率は大幅に下落します。

第7節にコルトレイクと引き分けたアンデルレヒトは、2勝3分2敗で低迷し、アンデルレヒトの監督を解任されることになりました。ティーレマンスの放出の穴を埋められなかったことが、解任の大きな原因になったと考えられるでしょう。

鹿島アントラーズはどうなるのか?

これまでブラジル人監督、もしくは日本人が率いた鹿島アントラーズにおいて、レネ・ヴァイラー監督は、クラブ初の欧州人監督として迎え入れられることになりました。

アンデルレヒトでの仕事っぷりで判断するのは非常に難しいですが、あの頃と同じスタイルになるならば、堅守速攻がメインで画期的なスタイルになるとは言い難いのが正直なところです。

しかし、アンデルレヒトを去ってから4年以上経っている今、監督自身もアップデートしていることは十分に考えられるでしょう。アンデルレヒトでの印象からすると「後方から繋ぐ」というイメージは全く想像はできませんが、ベルギーを去ってからは変化していることは十分に考えられるでしょう。

また、ベルギーリーグとJリーグはスタイルが大きく違います。

多くのベルギーのチームは、常にボールを前に進む選択肢を取り、長いボールを積極的に使っていくのが主流であり、Jリーグと比べても選手間の距離は幅広く取る傾向があります。中長距離のキックは当然のように求めていくベルギーと、ショートパスが主体になりがちのJリーグではギャップがあります。

ヴァイラーの場合は、ティーレマンスのキックを相当頼りにしていただけに、鹿島でもキック面では相当要求されるのかもしれません。

その両リーグの特徴を踏まえながらも、レネ・ヴァイラー監督がどこまで対応していけるのか、個人的には見どころかなと思っています。

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