STVV、マルク・ブレイス監督解任

2019-11-29

現在11位のシントトロイデン(STVV)は、マルク・ブレイス監督の解任を発表した。

すでに日本のメディアでも報道されている通りで、詳細は他のニュースで見ていただければ。

ということで、ここでは僕の感想でも書くことにしよう。

ブレイスの解任に関しては、全面的に否定的だと言いたい。

まずは選手編成から触れたい。今シーズンはDF冨安健洋、MFデ・サール、FW鎌田大地など、多くの選手達が退団し、新戦力の獲得が上手くいかなかったことが原因。今季の補強は鈴木優磨、伊藤達哉、デ・リデル、コリーディオ、アラン・ソウザ、グエン・コンフォン、イ・スンウが加入しており、アタッカータイプの選手が多い。

逆に攻守を結びつける役割をこなしていたMFデ・サールの後釜は、カリアリから加わったアルゼンチン人MFコロンバット以外は、ファン・デッセル、マスディなどリザーブチームから昇格したばかりの選手がほとんど。守備陣は冨安健洋の後釜になるCBは獲得しておらず、ヘントで出場機会がわずかだった左SBのデ・スメトを獲得するのみ。経験の浅い選手を使わざるを得ない状況になっていた。

GKはシュミット・ダニエルを獲得したが、Jリーグとは環境が大きく異るベルギーリーグでプレーするにはリスクが大きく、昨シーズン後半はMVP級の活躍をしたステッペを上回るレベルはあるとは言い難い。

つまり、アタッカータイプを過剰に保有する一方で、セントラルMFから守備陣までが非常に手薄なメンバーになっている。テイシェイラ、ポル・ガルシア、サンコン、アサモアといった昨シーズンの主力は残っているが、チーム最年長のデ・ペテルは踵の怪我で長期離脱中で、その他は経験が浅い選手ばかりだ。

今季のSTVVは主に上記のフォーメーションで戦っている。

メンバーは常に流動的で、最近ほぼ固定されているのが、ボリ、ボタカ、鈴木優磨、デ・ブライン、ポル・ガルシア、シュミット・ダニエル辺りになるだろう。守備陣はGKステッペ、DFテイシェイラの離脱もあり、昨シーズンの原型を留めていない。せめて冨安の放出だけで済めば、ブレイス監督も対応できていただろうが、経験の浅い選手で再構築するのは至難の業だ。

そしてアタッカーを多く獲得している攻撃陣だが、エースストライカーのボリ、攻撃的すぎるが後方からボールを運べるボタカの2人は不可欠。DMMがチームを買収する以前から、攻撃陣は基本的にボリ&ボタカのユニットに、パスとドリブルで攻撃陣を活性化してきたデ・ブラインがチームの軸である。この3人がいるのといないのでは、得点力やプレー精度が全く違う。

ボリ、ボタカ、デ・ブラインの3人は外さないことを前提に考えると、アタッカーの空きは、2、3人分くらい。そこで選ばれたのは、ブラジル出身のウイングのアラン・ソウザと、鈴木優磨…ということになったと考えられる。STVVを「日本人選手の出発地」として位置づけても、鈴木優磨と伊藤達哉の2人で日本人同士のポジションを争うような形になるのは、やはり考えものである。

韓国紙の情報も頻繁にベルギーメディアに掲載されることはあるが、個人的には「試合に出場していない選手」については、何も評価ができないし、答えようがないのが正直なところである。これは伊藤達哉にしてもグエン・コン・フォンにしても言えることだろう。

ただ、チームトップの8得点を挙げているボリと、ポジション争いに勝ちレギュラーでプレーしている鈴木優磨を比較すると、STVVでのキャリアが長く実績があるボリを差し置いてまで、鈴木優磨を評価するのは難しい。むしろ怪我の治療のブランクがある中で、全く文化もスタイルも違うベルギーの地で、食生活も苦しみながらもレギュラーで出続けている鈴木優磨は良くやっていると個人的には思う。

起用されている選手を差し置いてまで、期待されている選手ばかり報道するメディアには、僕にとっては「STVV自体見ていない」という感想を抱くものだ。イ・スンウとグエン・コン・フォンが起用されない上層部が不満に思っているのは、確かにあるかもしれないが、これが本当ならチーム内競争を否定する暴論だと感じる。

いずれにせよ、マルク・ブレイス監督の解任は非常に残念だ。昨シーズンは最優秀監督の候補にもあがり、冨安、鎌田、デ・ノーレ、デ・サール、ボリらの成長はブレイス監督抜きではあり得なかっただろう。どこの国籍の選手でもフラットに評価しており、放出が多いチームにおきながら、あらゆる手段を使って粘り強く戦ってきている。今季の11位でも「低迷」とはいうが、経験の浅い面々で戦っている現状では、むしろ健闘しているとも言えるだろう。

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