FC岐阜へ移籍のフレデリック・ビュロについて

J2のFC岐阜は、来季の新鮮力として、ガボン代表MFフレデリック・ビュロ(登録名フレデリック)の獲得を発表したので、スタンダール・リエージュ所属時のビュロを振り替えってみます。

プロフィール

フレデリック・ビュロ Frederic Bulot
生年月日 1990年9月27日(28歳)
国籍 ガボン
身長 179cm
利き足 左
ポジション サイドハーフ、センターハーフ

クラブ遍歴

2010-2011 モナコ(フランス)
2011-2012 カーン(フランス)
2012-2014 スタンダール・リエージュ(ベルギー)
2014-2015 チャールトン・アスレティック(イングランド)
2015-2017 スタッド・ランス(フランス)
2018 トゥール(フランス)

プレー動画

スタンダールでは70試合以上に出場

モナコの下部組織出身で、フランス、ベルギー、イングランドのクラブを渡り歩いたビュロ。フランスの各年代代表に選ばれたが、代表ではエースのオーバメヤンの誘いにより、ガボン代表を選択した。2018年にナシオナルアン(フランス3部)に降格したトゥールを退団し、現在は無所属だったが、FC岐阜に加入し、来季から日本でプレーすることになった。

モナコやカーンでも何度か試合を見たことあるが、当時のビュロは左サイドを主戦場とし、スピードを活かした縦の突破から、良質なクロスを蹴る典型的なサイドアタッカーだった。当時のモナコもカーンも、低迷期でビュロのパフォーマンスが、結果に結びつかなかった印象は強かった。結果、モナコ、カーンの両チームでリーグドゥ降格を経験している。

2012年夏にビュロはスタンダール・リエージュへ移籍。シーズン当初は、新監督に就任したロン・ヤンス監督が掲げるポゼッション重視のサッカーがハマらず、スタートダッシュに失敗。ビュロもチーム状況に引っ張られる形で、信頼は獲得できていなかったが、第10節の最大のライバルのアンデルレヒト戦での2得点をきっかけに、レギュラーに定着。

ロン・ヤンス監督は10月で解任され、ルーマニア人のミルチェア・レドニク氏が就任し、4-4-2を軸にソリッドな守備から鋭いロングカウンターをベースとしたスタイルに変更するが、ビュロは右サイドハーフに定着。2トップのバチュアイ、エゼキエルのコンビをお膳立てするチャンスメーカーとして機能していた。スピードとキックを武器にするだけに、自陣で深めに守備ブロックを形成するレドニクのサッカーにとっては、長い距離を素早く運べるビュロは、戦術的に大きな役割を果たしていた。

ロングカウンターの切れ味から、ゴールを量産していた、レドニク率いるスタンダール・リエージュだったが、引いた相手には苦戦することが多く、スピードを武器とするビュロは、展開によって活かされないこともあり、左足のミドルシュート以外ではなかなか存在感を示すことができなかった。レギュラーシーズンよりも固めの試合が多くなりがちなプレーオフでは、ビュロが上手くハマらない試合もあった。

4位で終わったスタンダール・リエージュは、レドニク監督を解任し、イスラエル人のルイ・ルゾン氏が就任。次のシーズンでは、チームの戦術自体は大幅な変化はなかったが、ワトフォードから復帰した元ベルギー代表MFジョフロイ・ムジャンギ・ビア、アンジ・マハチカラから復帰したMFメフディ・カルセラらが加入したため、ビュロの出場機会は激減。主に途中出場での起用法が多く、選手層が手薄なセンターハーフでのプレーが増えていたが、出場時間内でゴール、アシストも決めており、ルゾン体制でも大事なサブメンバーとして、大きな役割を果たしていた。

大きな特徴はスピードと左足のキック。ただ、フランスやベルギーでは、相手を背負ったプレーでは上手くいっていないため、スペースが少ない展開では、他の選手よりも落ち度を感じられた。個人的にはアンデルレヒト戦の2得点が印象に残っている。

近年は怪我に悩まされた

スタンダールでの3年目に差し掛かったが、移籍期限ギリギリに、当時イングランドチャンピオンシップ(実質2部)のチャールトン・アスレティックへ加入。この当時のチャールトンは、スタンダールのオーナーである、ローラン・デュシャトレ氏が買収しており、途中出場が多く、出場時間が限られていたビュロは、1年間のローン移籍で加入し、28試合5得点を記録。シーズン終了後に保有元のスタンダールを退団し、スタッド・ランスへ加入した。

移籍してから主力として活躍していたが、2016年1月に膝の怪我により戦線離脱。2016-2017シーズンは1試合も出場することなく、シーズン終了後に契約満了で退団。半年間の無所属期間を経て、2018年1月にフランスリーグドゥで最下位で苦しむトゥールへ移籍し、11試合出場するも、チームは残留できず、ナシオナル(フランス3部)へ降格が決定。ビュロは契約満了で退団し、FC岐阜と契約するまで再び無所属になった。

日本では起用法が変わる可能性も

近年のビュロのプレーを全く見ていないので、今の彼がどれほどの選手か分からないのが正直なところだが、気になるのは、スタッド・ランス時代に負った膝の怪我の影響。スタンダールでレギュラーで活躍した頃の往年のパフォーマンスなら、J2で旋風を起こすほどの潜在性はあると思われる。

スタンダールでは、4-4-2の右サイドハーフが主戦場で、スピードとキックの質で勝負する選手だったが、ロングカウンターを強みとしている当時のスタンダールと、今の岐阜では戦術や選手の構成が異なるだけに、サイドハーフ以外でのポジションで起用されることも十分に有り得る。

日本では「古典派トップ下」と評価された森岡亮太や鎌田大地が、ベルギーではチーム戦術や他の主力選手の能力により、元々の役割ではなく、セカンドトップを主戦場に、相手のディフェンスラインに仕掛けていく役割に変わった。それが得点数が伸びる要因になっているように、各クラブによって、選手の評価は大きく変わっていくもの。大宮や浦和で活躍したズラタン・リュビヤンキッチは、ベルギーではサイドアタッカーだったが、日本では中央でプレーすることが多くなったが、フレデリック・ビュロもベルギーやフランス時代とは、求められるプレーが大きく変わる可能性はあるだろう。

フレデリックが岐阜に何をもたらすか、逆に岐阜でフレデリックがどんなプレーをするのか、来季は注目していきたいと思う。Allez Frederic!

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