ベルギーリーグについてブロガー歴10年の自分が思うこと Vol.2
日本人選手が増えて、注目度が高まっているベルギーリーグ。欧州のメジャーなリーグなどより、世間的にはあまり知られず、メディアからも日本人選手を中心にピックアップされた記事がほとんどなので、補足としてブログ記事にしてみました。
ベルギーリーグにベルギー代表がいない理由
今年行われたW杯で、史上最高順位の3位で終わったベルギー代表のメンバーには、国内組は当時アンデルレヒトのMFレアンデル・デンドンケル(現在ウォルヴァーハンプトン)が唯一の選出でした。
国内に代表メンバーがほとんどいないので、ベルギーリーグのレベルを疑問視されたり、日本人選手のベルギーへの移籍に対して、懐疑的な見方をされているようにも感じますが、ここは自分なりに考えを書いていきたいと思います。
引き止めるほどの資金力がない
一番大きな理由は、ベルギーのクラブには、自国のエリートを引き止めるほどの資金力はありません。国内トップの資金力を誇るアンデルレヒトでも、7000万ユーロ(約90億円)で、半数以上が1億ユーロ以上の資金を持つ、イングランド・プレミアリーグには到底及びません。
ベルギーでも資金が少ないムスクロンは、年間800万ユーロ(約10億円)ほどで経営しており、プレミアリーグを席巻するベルギー代表の選手は、ムスクロンの年間予算を上回る選手は多数います。ベルギーは、5強(アンデルレヒト、クルブ・ブルッヘ、ゲント、スタンダール・リエージュ、ゲンク)以外のクラブは、年間予算が2000万以下なので、そういったクラブからベルギー代表に選出される選手が出てきたら、翌年にはベルギー国外へ出ていってしまいます。
30人以上の国外組がいる
若手もベテランも含め、現在、国外でプレーするベルギー人選手は、30人以上はいます。今年のW杯メンバーに入れなかった選手をあげると、ナインゴラン(インテル)、デフール(バーンリー)、ベンテケ(クリスタルパレス)、ミララス(フィオレンティーナ)など、過去のW杯やEUROでもプレーした選手が何人もいます。
30人以上もベルギー国籍の選手が国外にもいるのに、その中から国内の選手が入っていくのは、ポジションにもよりますが、非常に厳しいことだと分かるかと思います。
それでも、今回の代表メンバーに入った、トロサール、ヴァナケン、ヴェルストラーテのように、初招集の選手がベルギー国内から出てきます。むしろ、ベルギーリーグで5年も高いパフォーマンスを続けている、ハンス・ヴァナケンに関しては、数年前から待望論が高く、今招集されたのも遅いと感じるくらいです。
Le programme du jour :
🏋️♂️ 10h00 : Entraînement
🎙 12h00 : Présentation officielle d’Anthony Limbombe (en direct vidéo 📺)🖊 #BienvenueAnthony pic.twitter.com/y0j2LozpnN
— FC Nantes (@FCNantes) August 24, 2018
ただ、今年3月に初招集された、アントニー・リンボンベのように、国内の選手がベルギー代表に選出されると、次のシーズンには、国外のクラブへ移籍しているのを良く見かけます。今月末にフランスの名門、FCナントへ移籍しました。
これでは国内組に代表は増えません。
続々と有望な若手選手が出てくる
今季のアンデルレヒトは、テオドルチク、デンドンケル、カラなど、大幅に主力選手を放出し、ユース出身の選手を積極的に起用し、一気に若返りました。
昨シーズン、3バックの中央として、アンデルレヒトの攻守を支え、W杯にも出場した、レアンデル・デンドンケルを、イングランド・プレミアリーグのウォルヴァーハンプトンへ放出しましたが、その後釜として、19歳のセンターバック、セバスティアーン・ボルナウが抜擢されました。
ボルナウは、開幕戦にフル出場し、この週のベストイレブンにも選出されました。怪我による欠場もあったが、今季は4試合に出場しており、19歳ながらすでにアンデルレヒトの主軸になっています。
昨シーズンからプレーしている、サーレマーケルス、ダウダ、ロカンガ、アムズなどプレーしていますが、多少のパフォーマンスがあれど、すでにプロの試合についていけるレベルに達しています。若い選手に任せるのは、リスクもつきものですが、「育てた選手を国外に買われても、また育てればいい」という考えが、ベルギーでは徹底されています。
前述に、クルブのアントニー・リンボンベがナントに移籍したことに触れましたが、その後釜に、若手のナイジェリア人のMFダンジュマが定着しており、そのうちまた国外のクラブへ売ることになるでしょう。
同時に国内リーグの優勝は命題とされているのは変わらず、パフォーマンスが良くない若手は、他の選手にあっさり代わってしまい、出場機会が限られる選手は、半年か翌年以降には、ほとんどが別のクラブへ移籍しています。
ベルギーリーグの選手を覚えてくれない
ここから、少し愚痴になるかもしれません。
W杯のメンバーには、ベルギーリーグの選手はほとんどいませんでしたが、先日のベルギー代表メンバーには、ヴァナケン(クルブ・ブルッヘ)、トロサール(ゲンク)、ヴェルストラーテ(ゲント)と、国内所属の選手が初招集になりました。
これらの3選手は、このときだけパフォーマンスが良かったのではなく、数年前から実績を挙げており、各年代別代表でも活躍していました。
ただ、ベルギー国内でベルギーリーグを見ているファンなら、当然名前を知っているだろう選手でも、おそらく日本のサッカーファンにとっては、彼らの情報が入ってくることは、まず無いと思います。せいぜい、冨安選手のインタビューにトロサールに触れたことくらいですが、トロサールの名前までは覚えてくれないと思います。ベルギー代表に選ばれる実力があったとしても、そこに興味を持つ人は、ほとんどいません。
本日のスポーツニッポンに冨安選手の独占インタビューが掲載されています。販売エリアによりますが、紙面でもかなり大きく取り上げられているのでぜひご覧ください!https://t.co/4QorNJJ7f3https://t.co/6rR8ZNFlqR#STVV_JP#冨安健洋#スポーツニッポン#九州販売の紙面は大きな扱いのはず
— STVV_JP (@STVV_JP) September 1, 2018
だから、ベルギーリーグを日本のメディアで扱っても、既存のサッカーファンの需要をそこそこ満たす程度の情報量に過ぎず、各チームや各選手の情報など、もっと深いところまで踏み込んでくれることはありません。
それで「ベルギーリーグにベルギー代表がいない」ということで、国内にいる選手が大したことないように見られるのは、ベルギーでプレーする実力のある選手を見てくれないのかなと感じるものです。下手したら、ミスしたところだけを取り上げて、大したことないように取り上げる人もいるでしょう。
「知られていない=大したことない」になってしまうと、どうしてもサッカー自体も減点法で判断してしまうかなと感じることはあります。ただ、そうなってしまうと、いいプレーも色眼鏡で見てしまうだけに、良い選手も見つけられなくなるように思えます。去年だとオイペンからバルサBへ移籍したワゲなどいましたが。
— シェフケンゴ🇧🇪🇨🇩 (@shevkengo) 2018年8月17日
そう考えていると、既存のメディアは頼りにもならないので、最近執筆し続けている、「ベルギーリーグレビュー」を書くなど、より多くの情報をブログで書き続けないといけないと感じます。一人でも興味を持っていただける方が増えれば嬉しく思います。是非読んでみてください。
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