2018-2019ベルギーリーグプレビュー Vol.6 ロイヤル・アントワープ
第6回目のベルギーリーグプレビュー。今回はベルギー最古のクラブにして、国内でも屈指の人気を誇るロイヤル・アントワープです。
Contents
現所属メンバー
※赤が新加入
GK
1 シナン・ボラト トルコ 1988.9.3(29歳)
39 イェンス・テューンケルス ベルギー 1998.1.30(20歳)
41 ビル・ラトーウェルス ベルギー 1999.9.18(18歳)
DF
2 マテウス・ボルゲス ブラジル 1992.1.22(26歳)
4 ダニエル・オパレ ガーナ 1990.10.18(27歳)
6 シメン・ユルレルッド ノルウェー 1994.5.18(24歳)
15 ディノ・アルスラナギッチ ベルギー 1993.4.24(25歳)
21 ディラン・バトゥビンシカ フランス 1996.2.15(22歳)
30 アウレリオ・ブタ ポルトガル 1997.2.10(21歳)
37 イェレ・ヴァン・ダメ ベルギー 1983.10.10(34歳)
47 ガエル・カクジ ベルギー 1999.6.6(19歳)
MF
7 レダ・ジャーディ ベルギー 1995.2.14(23歳)
8 イヴォ・ロドリゲス ポルトガル 1995.3.30(23歳)
10 ジョフリー・ヘーレマンス ベルギー 1991.1021(27歳)
11 グーネ・ニアンガドゥ マリ 1997.12.28(20歳)
18 ナデル・ガンドリ チュニジア 1995.2.18(23歳)
20 ディディエ・ランケル・ゼ カメルーン 1996.9.17(21歳)
22 アントワーヌ・ベルニエ ベルギー 1997.9.10(20歳)
23 オマル・ゴベア メキシコ 1996.1.18(22歳)
27 ゾトゥサラ・ランドリアンボロロナ マダガスカル 1994.4.22(24歳)
29 エゴール・ナザリナ ウクライナ 1997.7.10(21歳)
38 ファリス・ハルン ベルギー 1985.9.22(32歳)
60 サンブー・ヤタバレ マリ 1989.3.2(29歳)
FW
9 ジョナタン・ボリンギ DRコンゴ 1994.6.30(24歳)
19 ウィリアム・オウス ガーナ 1989.9.13(29歳)
98 ローラン・メンディ セネガル 1998.12.18(19歳)
監督
ラースロー・ボローニ ルーマニア 1953.3.11(65歳) 2年目
移籍
加入
MF オマル・ゴベア(ムスクロン)
MF アントワーヌ・ベルニエ(アンデルレヒト)
MF ディディエ・ランケル・ゼ(シャモワ・ニオール/フランス)
DF シメン・ユルレルッド(ヴァレレンガ/ノルウェー)
DF ダニエル・オパレ(アウクスブルク/ドイツ)
FW ジョナタン・ボリンギ(スタンダール・リエージュ)
GK イェンス・テューンケルス(クルブ・ブルッヘ) ※完全移籍
DF マテウス・ボルゲス(ロンドリーナ/ブラジル) ※完全移籍
DF アウレリオ・ブタ(ベンフィカ/ポルトガル) ※完全移籍
MF イヴォ・ロドリゲス(ポルト/ポルトガル) ※完全移籍
放出
FW スタローヌ・リンボンベ(ゲント)
MF ジョナタン・ピトロイパ(パリFC/フランス)
MF セバスティアン・シアニ(アル・ジャジーラ/UAE)
MF ティノ=スヴェン・スシッチ(VVV./オランダ)
MF ロベルト・ヌニェス(ラス・パルマス/スペイン)
GK ケヴィン・デバティ(ワースラント・ベフェレン)
DF リッチー・デ・ラート(アストン・ヴィラ/イングランド) ※期限付き移籍満了
MF アレクサンデル・コリン(メヘレン) ※期限付き移籍満了
FW オビ・ウラレ(ワトフォード/イングランド) ※期限付き移籍満了
FW ホアキン・アルダイス(エル・タンケ・シシリー/ウルグアイ) ※期限付き移籍満了
ベルギー最古のクラブ
1880年にイングランド人の学生によって設立された、ベルギー最古のサッカークラブ「ロイヤル・アントワープ」。ベルギーリーグ優勝4回、カップ優勝2回を誇り、1992-1993シーズンのUEFAカップウィナーズカップでは、ベルギー勢最後のUEFAタイトルの決勝進出を果たしました。
創設以来、ベルギーの他のクラブにあるような、クラブの合併や移転などはなく、140年近くも、名前も変えることなく、今に至ります。そのことから愛称は「The Great Old(ザ・グレート・オールド)」「The One(ザ・ワン)」など呼ばれています。
クラブ名も、フラマン語(オランダ語)表記のアントウェルペン(Antwerpen)ではなく、英語表記のアントワープ(Antwerp)を採用することから、イングランドサッカーの影響が強いクラブです。
マンチェスター・ユナイテッドとの業務提携
ロイヤル・アントワープは、プレミアリーグの名門マンチェスター・ユナイテッドと長年の業務提携を結んでおり、90年代に入ってからは、マンチェスター・ユナイテッドの若手選手が、アントワープで武者修行していました。
ダニー・ヒギンボザム、ジョン・オシェイ、ライアン・ショークロス、トム・ヒートンなどプレーし、中でも元中国代表のFW董方卓(ドン・ファンジョウ)は、2005-2006シーズンに、ベルギー2部の得点王に輝きました。
ピーター・ウタカもプレー
2007年1月から、元ナイジェリア代表のFWピーター・ウタカが、1年半、ロイヤル・アントワープでプレーしました。プロキャリアを始めたベルギーでは、なかなか結果を出せなかったが、2007年にウェステルロから移籍すると、2007-2008シーズンには、22得点を奪い、ベルギー2部の得点王になっています。
また、昨シーズンに1年だけ、京都サンガでプレーした、FWケヴィン・オリス、元韓国代表FWソル・ギヒョン、元カタール代表FWフセイン・ヤセルなどもプレーしていました。
13年ぶりに1部復帰
ベルギー最古のクラブで、優勝4回の経験を持つロイヤル・アントワープだが、2003-2004シーズンで最下位になり、2部降格。深刻な財政難に悩まされ、なかなか昇格戦線にも食い込むことができず、10年以上、トップリーグから離れていました。
リーグシステムの改定により、8チームから再スタートを切ることになった、2016-2017シーズンの2部リーグで、セカンドステージを優勝を果たし、ルーセラーレとの優勝決定戦に挑むと、アントワープは1勝1分で勝利し、2部リーグ優勝。チームは13年ぶりに1部に復帰しました。
ベルギー2部のロイヤル・アントワープというクラブをご存知でしょうか?クラブは熱いサポーターに支えられ、その歴史は父から子へと代々引き継がれています(写真:中田徹)http://t.co/d3yyNLIZxh #eu_soccer http://t.co/kNK2gVu4IN
— スポーツナビ サッカー編集部 (@sn_soccer) October 3, 2015
13年も遠ざかっても、ロイヤル・アントワープのホームスタジアム、ボサイルスタディオンに駆けつける、サポーターは常に1万人以上駆けつけ、空席が目立つ1部リーグのクラブをも羨むほどの雰囲気を作ってきていました。その熱狂的な雰囲気は、スタンダール・リエージュと並ぶほど。時には問題を起こすものの、親子、孫と受け継がれるサポーターは、諦めることなく、ロイヤル・アントワープと共に過ごしてきました。
去年から今年にかけ、ホームスタジアムのボサイルスタディオンの改装工事が行われ、バックスタンドの整備を行ったアントワープ。今季はサポーターたちと共に、優勝プレーオフ進出を目指します。
元スタンダール・リエージュが勢揃い
13年ぶりの1部リーグで戦うことになったアントワープ。去年1月にスポーツディレクターに就任した、ルシアーノ・ドノフリオ氏は、途中就任ながら昇格に貢献したヴィム・デ・デケル監督はヘッドコーチに戻し、新監督としてルーマニア人のラースロー・ボローニ監督を招聘します。
2000年代では、スタンダール・リエージュの強化に携わっていた、イタリア人のドノフリオ氏は、2008-2009シーズンにスタンダールを優勝に導いたボローニを始めに、トルコ代表GKシナン・ボラト、元ベルギー代表DFイェレ・ヴァン・ダメなど、かつてスタンダールで活躍した選手を獲得。
昇格組にしては、実績がある選手を取り揃えたチーム。スポルティングCPでポルトガルリーグ優勝、スタンダール時代はベルギー2冠と、ルーマニア屈指の名将であるボローニが率いるチームは、エースのスタローヌ・リンボンベ、守護神シナン・ボラトらの活躍により、序盤戦から上位に食い込み、プレーオフ圏内の5位で年越します。
しかし、今冬の移籍市場で元ベルギー代表DFデ・ラート、カメルーン代表MFシアニ、ブルキナファソ代表MFピトロイパなど、4人の即戦力を獲得するも、チームにフィットせず、戦力を上乗せすることができず。年明け後に得点力不足に悩まされ、ほとんど勝利することができず、レギュラーシーズンを8位で終了しました。
フォーメーション
昨シーズンは、3-4-1-2、4-3-3と様々なフォーメーションを使い分けたアントワープ。即戦力のサイドバックの補強を行ったため、今シーズンの4試合では、すべて4バックで戦っており、昨シーズン、最も多かった3-4-1-2から、戦い方を若干変えています。元ベルギー代表のハルン、ヴァン・ダメと、フィジカルが非常に強いセンターハーフを取り揃えており、中央を簡単に破らせない、強固の守備力を特徴としています。逆に得点力はカウンターとセットプレーに依存するため、技巧派MFヘーレマンスに個人技に頼る傾向にあります。今シーズン獲得の待望のCFボリンギが鍵を握りそうです。
注目選手
MF ジョフリー・ヘーレマンス
アントワープ近郊のウィルライク出身の攻撃陣を牽引する技巧派MF。アントワープの下部組織出身だが、トルンハウト、ヘイスト、デッセル・スポルトなど、下部リーグのクラブへ渡り歩いた後に、2015年夏にアントワープへ復帰。2016-2017シーズンに昇格を果たし、大幅な補強を行うチーム事情にでも主軸を担い、トップ下、左ウイングなどを中心に活躍。正確な左足から多くのチャンスを演出し、フリーキックも得意。古豪アントワープでも最も人気がある地元出身のローカルヒーローです。
DF イェレ・ヴァン・ダメ
ベルギー代表33試合出場のベテラン、イェレ・ヴァン・ダメ。19歳でオランダの名門アヤックスへ移籍後、サウサンプトン、ヴェルダー・ブレーメンを経て、2006年から4年間、アンデルレヒトで活躍。2010年にウルヴズへ移籍し、再度イングランドへ渡るものの、半年後にはスタンダールへ移籍し、キャプテンとして活躍。2016年にアメリカへ渡るものの、昨シーズンからはアントワープでプレーしてます。本職は左SBだが、アントワープではフィジカルの強さを買われて中盤で起用されることが多いです。見た目がセンターバックっぽいですが、ポカをやらかすのか、ほかのポジションのほうがよく見られます。
FW ジョナタン・ボリンギ
昨シーズンはムスクロンでプレーし、30試合7得点を記録したセンターフォワード。メキシコ人MFゴベアとともに、今シーズンはアントワープへ移籍。人材不足に悩まされていたセンターフォワードを担います。コンゴ民主共和国の強豪TPマゼンベの下部組織出身の24歳。代表には19歳のころからプレーしており、21試合7得点と活躍。打点の高いヘッドと、ストライドの大きいダッシュを兼ね、センターフォワード、両ウイングなどでプレーしています。
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