2018-2019ベルギーリーグプレビュー Vol.3 ズルテ・ワレヘム

できたら全チームやりたいなーと言いつつ、思いの外、あまり進んでいないベルギーリーグプレビュー。今回はベルギーリーグを代表する「名伯楽」フランキー・デュリー率いる、ズルテ・ワレヘムです。

現所属メンバー

GK

1 サミー・ボスット ベルギー 1985.8.11(33歳)
25 ルイス・ボスティン ベルギー 1993.10.4(24歳)
44 エイケ・バンゼン ドイツ 1998.221(20歳)

DF

2 デヴィ・デ・ファウ ベルギー 1981.7.8(37歳)
3 マルヴィン・ボドリー コンゴ 1990.1.26(28歳)
4 ミカエル・ヘイエン ベルギー 1994.1.3(24歳)
6 ティモティ・デライク ベルギー 1987.5.25(31歳)
14 サンデイ・ウォルシュ オランダ 1995.5.14(23歳)
15 キングスレイ・マドゥ ナイジェリア 1995.12.12(22歳)
18 エルヴィン・デミル スウェーデン 1990.3.27(28歳)
23 マルコ・ビュルキ ドイツ 1993.7.10(25歳)
24 ヨハン・リードル・ビョールダル ノルウェー 1986.5.5(32歳)
26 ブライアン・ヴェルボーム ベルギー 1992.1.30(26歳)

MF

5 ダミアン・マルク フランス 1988.12.8(29歳)
7 トーマス・ブッフェル ベルギー 1981.2.19(37歳)
8 ヒハム・ファイク オランダ 1992.3.19(26歳)
11 ニル・デ・パウ ベルギー 1990.1.6(28歳)
16 ウルホ・ニッシラ フィンランド 1996.4.4(22歳)
22 フロリアン・タルデュー フランス 1992.4.22(26歳)

FW

9 ハムディ・ハルバウィ チュニジア 1985.1.5(33歳)
10 テオ・ボンゴンダ ベルギー 1995.11.20(22歳)
17 ミカエル・ソイサロ フィンランド 1998.4.24(20歳)
20 ヘンリク・ビョールダル ノルウェー 1997.2.4(21歳)
 ママドゥ・シラ セネガル 1994.4.20(24歳)
 クリス・ベディア コートジボワール 1996.3.5(22歳)

監督

フランキー・デュリー ベルギー 1957.10.11(60歳)

移籍

加入

DF エルヴィン・デミル(ワースラント・べヴェレン)
DF マルコ・ビュルキ(ヤングボーイズ/スイス)
DF ブライアン・ヴェルボーム(コルトライク) ※期限付き移籍満了
MF ヒハム・ファイク(エクセルシオール/オランダ)
MF ウルホ・ニッシラ(KuPS/フィンランド)
MF フロリアン・タルデュー(ソショー/フランス)
MF トーマス・ブッフェル(ゲンク)
FW ミカエル・ソイサロ(ミドルスブラ/イングランド)
FW ママドゥ・シラ(ゲント)
FW クリス・ベディア(シャルルロワ)
FW テオ・ボンゴンダ(セルタ/スペイン) ※完全移籍

放出

DF ブライアン・ハマライネン(ディナモ・ドレスデン/ドイツ)
DF ヨアン・セヴェリン(セルヴェッテ/スイス)
MF オヌル・カヤ(メヘレン)
MF アレッサンドロ・コルダロ
MF ジュリアン・ドゥ・サール(ミドルスブラ) ※期限付き移籍満了
MF イドリサ・ドゥンビア(アンデルレヒト) ※期限付き移籍満了
FW アーロン・レヤ・イセカ(アンデルレヒト) ※期限付き移籍満了
FW ピーター・オラインカ(ゲント) ※期限付き移籍満了
FW イヴァン・シャポニッチ(ベンフィカ/ポルトガル) ※期限付き移籍満了
FW サンデル・コープマン(クルブ・ブルッヘ) ※期限付き移籍満了

21世紀に台頭した新興勢力

前身となる「ズルテ・スポルト」は、1950年に設立。1976年にSKズルテと合併して、「ズルテセVV」に改名され、3部と4部を主戦場とする、アマチュアクラブとして活動していました。

転機は2001年。KSVワレヘムと合併して、「SVズルテ・ワレヘム」と改名し、ワレヘムのホーム、レーゲンボークススタディオンへ移転します。創設初年度の2001-2002シーズンに、3部リーグ優勝を果たし、初の2部昇格。更に2004-2005シーズンに2部優勝を果たし、2005年には初の1部昇格。以後14シーズン、1部の座を守っています。

クラブの愛称はKSVワレヘム時代から、「Essevee(エッセヴェー)」と呼ばれています。Googleで「Essevee」と検索すると、公式HP、試合結果が表示されます。スタジアムは12140人収容で、フラマン語で虹を意味する、「レーゲンボークススタディオン」を使用。ちなみにフランス語表記だと「スタッド・アルク・アン・シエル」になります。

ベルギーカップでは2006年と2017年に優勝。2009-2010シーズンにプレーオフ制度が始まってからは、5シーズン、優勝プレーオフに進出し、2012-2013シーズンでは、最終節までアンデルレヒトと優勝争いを演じ、最高順位の2位になりました。ビッグ5(アンデルレヒト、クルブ、ゲント、ゲンク、スタンダール)に割って入るほどの実力派チームと言えるでしょう。

名伯楽フランキー・デュリー

フランキー・デュリー

そのズルテの顔となるのが、フランキー・デュリー監督。プロ選手としての経歴がなく、警察職員の仕事をしながら、アマチュアクラブのフルステ・スポルトで1981年までプレー。1984年から少年サッカーの指導を始め、各クラブを転々とした後に、1994年に前身のズルテセVVの監督に就任。2001年にクラブ合併後も監督を続け、就任当時4部にいたズルテセVVを1部まで昇格させました。2010年に退任してから、ゲント、U21代表監督を経て、2011年12月にズルテに復帰。2度も年間最優秀監督を受賞する、クラブの歴史そのものを背負っている監督です。

資金力が恵まれないチーム事情の中でも、経験豊富なベテランと、新鋭の若手選手を組み合わせて、安定して結果を残す手腕が評価され、ベルギー国内では、現アンデルレヒトのハイン・ヴァンハーゼブルック監督、現スタンダール・リエージュのミシェル・プロドーム監督と並んで、ベルギー屈指の名将と賞賛されています。

フランスのクラブやチェルシーで燻っていた、トルガン・アザールの才能を開花させ、2012-2013シーズンにはアンデルレヒトと熾烈な優勝争いを演じた手腕から、国内外からズルテへ選手を預けるチームも多々あります。他で燻っている選手がズルテに預けると、見違えるようなパフォーマンスを見せることが多く、一目置く存在としてみるサッカーマニアも国内外にいます。

冬の補強で復活

昨シーズンは、序盤こそはトップ争いに食い込んだものの、ヨーロッパリーグとの両立に苦しみました。ヨーロッパリーグでは、フィテッセ、ラツィオに勝利するものの、ニース戦での連敗が響き、決勝トーナメント進出ならず。リーグ戦は中盤戦以降、ほとんど勝てず、一時期は13位まで順位を落とし、あわや残留争いに巻き込まれる順位まで低迷しました。

冬の補強で、所属クラブで燻っていた、ハルバウィ(アンデルレヒト)、マルク(ゲント)、ボンゴンダ(セルタ)を獲得。レギュラーシーズンを9位で終えると、プレーオフ2ではハルバウィが10試合で13得点叩き込むなど、攻撃陣の大爆発もあり、プレーオフ2を制しました。最終プレーオフではゲンクに破れ、EL出場権は果たせなかったが、プレーオフ2では明らかな実力の違いを見せつけていました。

フォーメーション

このクラブの移籍の傾向からすると、移籍期限ギリギリで他のクラブから若手選手をローン移籍で獲得することが多く、まだまだ読めないのが正直なところだが、基本的には4-2-3-1を主に採用しています。

2006年からプレーするボスット、2013年の準優勝メンバーのデ・ファウ、元ベルギー代表のブッフェル、2度の得点王に輝いたハルバウィなど、実力のあるベテラン選手が今季は揃っています。チームの骨格はベテランで形成して、そこに無名の若手を加えていくのが、ズルテ・ワレヘムのチーム作りと言えます。

クラブの資金が限られることもあり、毎年、ローン移籍で獲得する選手のパフォーマンスに左右されやすいチーム状況でありながら、第3節まで2勝1分と、上々のスタートを切っており、今季のズルテは侮れないチームと言えるでしょう。

注目選手

FW テオ・ボンゴンダ

今年1月にスペインのセルタ・デ・ビーゴから復帰したボンゴンダ。俊足とテクニックを活かして、主に左ウイングでプレーしていたものの、今シーズンからは主にトップ下で起用され、プレーの幅を広げています。セルタでは一時期、背番号7を与えられ、出場機会も与えられたものの、なかなかチャンスを生かせず、ブレイクとは行かなかったが、ユース時代から過ごしたズルテで再起を図ります。

MF トーマス・ブッフェル

今年で37歳となり、8シーズンぶりに移籍した、元ベルギー代表のトーマス・ブッフェル。フェイエノールト時代は小野伸二と共にプレーしたことも。フェイエノールト、レンジャーズで慢性的な膝の怪我で現役引退の可能性があったものの、ベルギー帰国後は復活して、2013年まで度々代表にも選出されていました。昨年は最愛の妻を癌で亡くしたものの、ゲンクで溌剌としたプレーを披露。駆け引きの上手さと得点感覚の良さで、37歳でも若々しいプレーを日々見せています。

GK サミー・ボスット

2014年W杯の第3GKとして、ベルギー代表にも招集された、ベルギーリーグでも指折りのGKボスット。2006年からズルテでプレーし、試合出場は350試合を超えるキャリアを誇ります。PKには非常に強く、2017年のベルギーカップ決勝のPK戦で勝利に貢献し、第2節で久保裕也のPKを止めています。唯一のベルギー代表戦となった、2014年のルクセンブルク戦は、当時のヴィルモッツ監督が交代枠を超過したことで、無効試合になり、出場経験があるのに、代表キャップ0という、珍しい経験をしています。

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