伊東純也が移籍したKRCゲンクについて

2019-02-10

2月に入り、日本代表のMF伊東純也選手が、柏レイソルから買い取りオプション付きの期限付きで、現在ベルギーリーグ首位を走る、KRCゲンクへ移籍することになった。今回はゲンクはどんなチームなのか触れる。

以下過去2回、ゲンクについて書いた記事。

https://twitter.com/shevkengo/status/986364572603994113

ベルギー東部リンブルグの名門

ベルギー東部のリンブルグ州の人口6万人の工業都市のゲンクをホームとする、KRCゲンク。1988年に2つのクラブが合併してできた新興勢力で、90年代まで一地方都市の中堅クラブに過ぎなかったが、1999-2000シーズンに初優勝。以後、アンデルレヒト、クルブ・ブルッヘ、スタンダール・リエージュら国内トップクラスのチームに匹敵する実力を誇り、3回の優勝を誇る。また、ヨーロッパリーグの常連でもあり、2016-2017シーズンはベスト8に進出。今シーズンも決勝トーナメントに進出している。

ホームスタジアムは、23718人収容。正式名称は「フェニックススタディオン」だが、2016年から電力会社の「ルミナス」が命名権を取得した。オランダとの共催で開催地に立候補した2018年W杯では、45000人収容に改築される予定だったが、ロシアに開催地が決定したことにより、拡張計画は中止。現在ではフィットネスクラブ、ボーリング場、スポーツショップなどを併設する複合施設になっている。

DMMが経営権を握り、日本人選手が6人在籍しているシント・トロイデンVV(STVV)とはリンブルグ州のライバル関係で、両チームの対戦は「リンブルグダービー」と呼ばれ、毎試合激しい展開になっている。

国内屈指の育成の名門

https://twitter.com/shevkengo/status/1091143023721771008

日本では、2002-2003シーズンに所属した、元日本代表の鈴木隆行が所属したクラブとして知られるが、上の画像のように、数々の名選手を輩出している。国内屈指のユースシステムを擁し、ベルギー代表MFケヴィン・デ・ブライネ(マンチェスター・シティ)、GKティボー・クルトワ(レアル・マドリー)、FWクリスティアン・ベンテケ(クリスタルパレス)、FWヤニック・カラスコ(大連一方)、FWディヴォック・オリギ(リヴァプール)、MFデニス・プラート(サンプドリア)、DFティモシー・カスターニュ(アタランタ)など輩出している。

外国籍選手では、ジャマイカ代表FWレオン・ベイリー(レヴァークーゼン)、セルビア代表MFセルゲイ・ミリンコヴィッチ=サヴィッチ(ラツィオ)、ナイジェリア代表MFヴィルフレッド・エンディディらを輩出している。

古くはベルギー代表で長年活躍した、MFバルト・ホール、FWヴェズレー・ソンク、元オーストラリア代表MFポール・スココなども在籍していた。

90年代からオランダの名門アヤックスと業務提携を結び、当時から若手育成に力を入れており、今では世界的な注目を浴びるベルギーの育成の草分け的存在となったクラブである。

超攻撃的なスタイルで旋風を起こす

昨シーズン途中に、ワースラント・ベヴェレンから引き抜く形で、ゲンクの監督に就任したフィリップ・クレマン。森岡亮太が在籍時のワースラント同様、4-3-3(または4-2-3-1)をベースに、両サイドの幅を使った、分厚い攻撃を重視するサッカーをゲンクでも展開している。

センターフォワードのタンザニア代表FWサマッタ、ベルギー代表FWトロサールが主な得点源。中盤はスペイン人のポスエロ、ウクライナ代表のマリノフスキーがゲームを作りつつ、20歳のノルウェー代表MFベルゲが後方でどっしり構える。運動量が豊富な両サイドバックは、クロスボールだけではなく、敵陣ペナルティエリアまで侵入することも。控え選手もU-21代表の主力であるMFヘイネンが遜色ない実力を発揮している。

先日に森岡亮太が移籍したシャルルロワは、チーム状態や相手によってフォーメーションを頻繁に変更するチームだったが、ゲンクはどの相手でも攻撃重視の姿勢は基本的には変わらず、試合の中から微調整するスタイルを取っている。

現在首位を独走するチームだけに、これまでのゲンク同様、今季も国外のビッグクラブに注目される選手は揃っている。W杯後にベルギー代表に選出され続ける左ウイングのFWレアンドロ・トロサール、195cmの守備的MFサンダル・ベルゲ、ウクライナ代表でも主軸を担うMFルスラン・マリノフスキーらは、大きな注目を浴びている。

伊東純也の起用法は?

柏レイソル、日本代表では右ウイングでプレーする伊東純也だが、ゲンクでも同じく右ウイングでの起用になると思われる。

現在のゲンクでは、DRコンゴ代表のFWデュメルシ・エンドンガラ、ガーナ代表の20歳のFWジョセフ・ペイントシルが起用されているが、他のポジションに比べ、やや決め手に欠いている印象が強い。ペイントシルは左のトロサールが不在時は左でプレーすることも多いので、実質上、エンドンガラとのポジション争いになるだろう。

ヨーロッパリーグで上位進出すれば、プレーオフでは週2試合ペースでの過密日程が予想される。レギュラーメンバーは4大リーグの中堅以上のクラブの選手とも遜色ないほどの実力者が揃うチームだが、選手層に不安はある。各国代表レベルが多く在籍するゲンクは、他のベルギーのクラブに比べ、ポジション争いのレベルは段違いのチームだが、伊東には即戦力としての活躍を期待される。

次の記事では主な所属選手について取り上げます。

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