2018-2019ベルギーリーグプレビュー Vol.5 ワースラント・ベフェレン

引き続いて、ベルギーリーグプレビュー。今回は昨シーズンの前半戦で森岡亮太がプレーした、ワースラント・ベフェレンです。

現所属メンバー

GK

33 デヴィ・ルーフ ベルギー 1994.2.6(24歳)
89 ケヴィン・デバティ ベルギー 1989.6.12(29歳)

DF

2 トビアス・サルキスト デンマーク 1995.5.18(23歳)
3 ミラン・マソップ オランダ 1993.12.1(24歳)
4 ヴァルテッリ・モレン フィンランド 1991.6.15(27歳)
18 オスカー・スレルケルド イングランド 1994.12.15(23歳)
19 アレクシス・ガンボア コスタリカ 1999.3.20(19歳)
23 マキシミリアーノ・コーフリエ ベルギー 1997.2.16(21歳)
25 ダヴィノ・リーセンス ベルギー 1999.4.8(19歳)
26 アレクサンドル・ヴコティッチ セルビア 1995.7.22(23歳)
28 ダーン・フーロン ベルギー 1999.4.8(19歳)
52 ユル・スフレイヴェルス ベルギー 1997.3.11(21歳)

MF

5 カルロ・ルリッチ クロアチア 1996.5.10(22歳)
6 ヨアキム・ヴァン・ダメ ベルギー 1991.7.23(27歳)
8 ジハード・ビジマナ ルワンダ 1996.12.12(21歳)
13 ルイス・ヴェルストラーテ ベルギー 1999.5.4(19歳)
14 ダンゼル・ユビタナ ベルギー 1999.5.6(19歳)
15 ポール・ケイタ セネガル 1992.6.23(26歳)
20 ダーン・ヘイマンス ベルギー 1999.6.15(19歳)
24 ラフィディヌ・アブドゥラー コモロ 1994.1.15(24歳)

FW

7 アレクサンダル・ボリェヴィッチ モンテネグロ 1995.12.12(22歳)
9 フランチェスコ・フォルテ イタリア 1993.5.1(25歳)
10 フロリアーノ・ヴァンゾ ベルギー 1994.4.28(24歳)
11 ベニ・バディバンガ ベルギー 1996.2.19(22歳)
12 ラミーヌ・エンダオ セネガル 1994.12.19(23歳)
16 シェリフ・エンディアエ セネガル 1996.1.23(22歳)
22 ナナ・オポク・アンポマー ガーナ 1996.1.2(22歳)
55 テュール・ディールクス ベルギー 1996.5.9(22歳)
98 ダン・スラ ベルギー 1996.3.2(20歳)

監督

ヤニック・フェレーラ ベルギー 1980.9.24(37歳)

移籍

加入

GK ケヴィン・デバティ(アントワープ)
DF アレクシス・ガンボア(
DF トビアス・サルキスト(シルケボー/デンマーク)
DF オスカル・スレルケルド(プリマス・アーガイル/イングランド)
DF アレクサンダル・ヴコティッチ(クルパ/ボスニア・ヘルツェゴビナ)
DF ミラン・マソップ(エクセルシオール/オランダ)
MF ジハード・ビジマナ(APR/ルワンダ)
MF ラフィディヌ・アブドゥラー(カディス/スペイン)
MF ベニ・バディバンガ(スタンダール・リエージュ)
MF ダーン・ヘイマンス(ウェステルロ)
MF ダンゼル・ユビタナ(メヘレン)
MF ポール・ケイタ
MF カルロ・ルリッチ(NKルデシュ/クロアチア)
FW フランチェスコ・フォンテ(インテル/イタリア)
FW ラミーヌ・エンダオ(キュビリー/フランス)
FW ダン・スラ(OHルーヴェン)

放出

GK メルヴィル・ゴブレ
DF エルディン・デミル(ズルテ・ワレヘム)
DF ローラン・ヤンス(メス/フランス)
DF マキシム・ナイス(デンデルEH)
DF ジョナタン・ブアトゥ(リオ・アヴェ/ポルトガル)
MF フランソワ・マルケ(オーステンデ)
MF オリヴィエ・マイニー(OHルーヴェン)
MF イェンス・コールス(パフォス/キプロス)
FW アレッサンドロ・セリジョーニ(ロメル)
FW アーロン・ドーント(クノッケ)
DF ニールス・ヴェルブルフ(クルブ・ブルッヘ) ※期限付き移籍満了
MF ヴィクトリアン・アングバン(チェルシー/イングランド) ※期限付き移籍満了
MF ラシド・アイト=アトマン(スポルティング・ヒホン/スペイン) ※期限付き移籍満了
FW イサーク・キーセ・テリン(アンデルレヒト) ※期限付き移籍満了

名門クラブを吸収合併

2010年に、シント=ニクラースをホームとしていたレッドスター・ワースラントが、KSKベフェレンを買収し、KSKベフェレンのホームである、フレーティエル・スタディオンへ移転することで新たに設立された「ワースラント・ベフェレン」。かつてバイエルンとベルギー代表の正GKを務めた、ジャン=マリー・パフを輩出し、2度の優勝を誇るKSKベフェレンだったが、財政難のためにクラブは破産。レッドスター・ワースラントが引き継ぐことで、ベフェレンのサッカーが再スタートを切りました。

前身の一つのKSKベフェレンは、70年代~80年代にベルギーリーグを代表する名門として上位争いを演じ、1978-1979シーズンのUEFAカップウィナーズカップでは、準決勝まで進出。リーグは1978-1979シーズン、1982-1983シーズンで2度の優勝を果たしています。

コートジボワール化

ベフェレンといえば、2001年にフランス人のジャン=マルク・ギユー監督が就任。ギユーが設立したコートジボワールのアカデミーから、大量に若手選手を連れて行く策略を行い、チームの大半がコートジボワール人で占める時期がありました。その中には、若手時代のヤヤ・トゥーレ、エマニュエル・エブエ、ロマリッチ、ジェルヴィーニョといった面々が在籍。

そのプロジェクト当時のアーセナルのアーセン・ベンゲル監督が賛同し、アーセナルから年間150万ユーロの補助金を受けており、「フェアプレーの利害の対立を管理する」FIFAの規定に反することで、ベルギー警察からの調査を受けていました。

そのアーセナルとの提携も、2006年の2部降格により終了。クラブを仕切っていたジャン=マルク・ギユーはクラブを去り、ベフェレンは地元選手を中心に活動するクラブに戻りました。しかし、アーセナルからの補助を受けなくなったこともあり、クラブの財政は2010年に破綻。事実上の消滅の憂き目に遭いました。

2つのベフェレン

イエロー・ブルー・サポーテルスクリング・ベフェレン

今のワースラント・ベフェレンは、別の本拠地のチームが、ベフェレンへ移転し、ユニフォームカラーを変更し、「ベフェレン」を名乗って活動しているクラブです。クラブの歴史はKSKベフェレンではなく、レッドスター・ワースラントの経歴を継承しています。元主が死んで空いた巻き貝に引っ越ししていくヤドカリみたいなことを、サッカークラブで行っているとも言えます。

これには問題がないわけではなく、フレーティエルに駆けつけていたサポーターも意見が分かれ、ワースラントによる吸収合併に納得がいかないサポーターグループは、2011年に「イエロー・ブルー・サポーテルスクリング・ベフェレン(黄色と青のサポーターが設立のベフェレン)」を設立し、地域リーグ4部(8部相当)からスタートしています。

ちなみにこの「ヤドカリ現象」は、近年でワースラント・ベフェレン以外にも、2001年のズルテ・ワレヘム、2009年のムスクロン・ペルヴェルツ(現REムスクロン)、2012年のベールスホット・ウィルライクでも発生。今年6月には、リールセ(現KSKリールセ・ケンペンゾネン)でも発生しています。

昇格後は残留争いの常連に

2011-2012シーズンに2位になり、昇格プレーオフを勝ち抜いて、ワースラント・ベフェレンはクラブ史上初の昇格を果たします。

資金力に恵まれないワースラントは、毎年のように選手は引き抜かれ、下部からの引き抜きや上位陣の余剰戦力を獲得して、毎シーズンを戦っており、昇格初年度から12位~14位を彷徨っています。

昨シーズンのワースラントは、長年クルブ・ブルッヘのアシスタントコーチを務めたフィリップ・クレマンが監督に就任。アンデルレヒトからスウェーデン代表FWイサーク・キーセ・テリン、GKデヴィ・ルーフ、チェルシーからMFヴィクトリアン・アングバンを期限付き移籍で、ポーランドのシロンスク・ヴロツワフから、日本代表MF森岡亮太を獲得しました。

序盤からフィットしたチームは、リーグトップクラスの攻撃力を発揮。テリン、アンポマー、ボリェヴィッチ、森岡亮太が躍動する攻撃陣は、残留争いの常連であるワースラントを、プレーオフ争いを演じるサプライズを起こしました。

しかし、小クラブの宿命か、12月にフィリップ・クレマン監督はゲンクに引き抜かれ、翌年2018年1月にはキャプテンのイブラヒマ・セックが監督の後を追うようにゲンクへ移籍。1月30日には攻撃陣を牽引した森岡亮太がアンデルレヒトへ放出。チームは昇格以来、最高勝ち点の35点を達成したが、戦力キープができれば、6位以内のプレーオフを期待できただけに、若干寂しさも残るシーズンでした。

若手を中心に再スタート


財政規模は1000万ユーロ程度で、ベルギーリーグでは最小クラスのクラブだけに、今シーズンも多くの選手がチームを去り、出場機会が恵まれない若手選手を中心になります。

今季の新監督に就任したヤニック・フェレーラは、現在38歳ながら経験が抱負で、20代からアンデルレヒトのユースコーチを務め、ロメル・ルカクを指導。2011年にゲントのビデオアナリストを経て、2012年にシャルルロワで31歳で監督のキャリアを始めると、STVV、スタンダール・リエージュ、メヘレンで歴任。STVV時代には小野裕二も指導しています。UEFA指導ライセンスを持ち、フランス語、オランダ語、英語、スペイン語、イタリア語と5ヶ国語を話せます。

今季は非常に選手の入れ替わりが多く、チームが固まるまでは時間がかかると見られ、現在も2分1敗と勝利がないが、フェレーラ監督は若手育成に定評があるため、20歳前後の選手が多いチームをまとめられるか大きなカギを握ります。

注目選手

FW アレクサンダル・ボリェヴィッチ

昨シーズンは、35試合に出場したワースラント不動のモンテネグロ代表の右ウイング。巧みなドリブル突破からチャンスを演出し、テリンや森岡のゴールを演出。自らもゴールを決めて、シーズン50得点記録したチームに貢献しました。テリン、森岡が去り、アンポマーの移籍も噂される中、今季は中心選手としてワ~スラントを背負っていくキーマンになりそうです。

GK デヴィ・ルーフ

昨シーズンに引き続き、アンデルレヒトから期限付き移籍でワースラントでプレーすることになったルーフ。昨シーズンは、開幕からレギュラーに定着し、ビッグセーブを連発。アンデルレヒト時代の2016年のチャンピオンズリーグ、ガラタサライ戦で無失点に抑え、週間MVPを受賞した経験がある、24歳の将来有望なGK。

DF アレクサンドル・ヴコティッチ

ボスニア・ヘルツェゴビナのクルパから獲得した、セルビア人センターバック。身長が201cmあり、見たまんまの高さを強みとし、第3節のゲント戦ではセットプレーから頭で合わせて初ゴールを記録。スタンダール・リエージュ戦では、無失点に大きく貢献しました。今シーズンも入れ替わりが激しい守備陣の中心として期待がかかります。

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