2018-2019 ベルギーリーグプレビュー Vol.2 KAAゲント

2018-08-13

新シーズンに向けた、ベルギーリーグのレビューシリーズ。今回は日本代表FW久保裕也が所属し、4シーズンぶりのリーグ優勝を狙う、KAAゲントです。

現所属メンバー

GK

20 ヤニック・トゥーレン ベルギー 1990.6.18(28歳)
35 ヤリ・デ・ブッセル ベルギー 1999.10.21(18歳)
91 ロヴレ・カリニッチ クロアチア 1990.4.3(28歳) ※W杯
92 コリン・コーセマンス ベルギー 1992.8.3(25歳)

DF

4 シグルド・ロステッド ノルウェー 1994.7.22(24歳)
5 イゴール・プラストゥン ウクライナ 1990.8.20(27歳)
21 ナナ・アサレ ガーナ 1986.6.11(32歳)
26 オフィル・ダヴィザダ イスラエル 1991.5.5(27歳)
28 ディラン・ブロン チュニジア 1995.6.19(23歳) ※W杯
29 ティボー・デ・スメト ベルギー 1998.6.5(20歳)
32 トマス・フォケ ベルギー 1994.9.25(23歳)
38 シーベ・ホレマンス ベルギー 1998.7.11(20歳)
フランク・バヒ ギニア

MF

6 ビルゲル・ヴェルストラーテ ベルギー 1994.4.14(24歳)
7 ギオルギ・チャクヴェダゼ ジョージア 1999.8.29(18歳)
8 ヴァディス・オジジャ ベルギー 1989.2.21(29歳)
10 レナト・ネト ブラジル 1991.9.27(26歳)
15 ギオルギ・ベリゼ ジョージア 1997.5.12(21歳)
19 ブレヒト・デヤーゲレ ベルギー 1991.5.29(27歳)
23 フランコ・アンドリヤシェヴィッチ クロアチア 1991.6.22(27歳)
24 ニコラス・ラスキン ベルギー 2001.2.23(17歳)
34 アーメド・モスタファ エジプト 1997.10.21(20歳)
44 アンダーソン・エシティ ナイジェリア 1994.5.24(24歳)
ホセ・ルイス・ロドリゲス パナマ 1998.1.19(20歳) ※W杯
エリック・スミス スウェーデン 1997.1.8(21歳)

FW

9 スタローヌ・リンボンベ ベルギー 1991.5.26(27歳)
11 ジャン=リュック・ドムペ フランス 1995.8.12(22歳)
13 ギオルギ・クヴィリタイア ジョージア 1993.10.1(24歳)
14 タイウォ・アウォニイ ナイジェリア 1997.8.12(20歳)

16 ジョナサン・デイヴィッド カナダ 2000.1.14(18歳)
17 ロマン・ヤレムチュク ウクライナ 1995.11.27(22歳)
22 アブバカリ・コイタ ベルギー 1998.9.20(19歳)
31 久保裕也 日本 1993.12.24(24歳)
33 ママドゥ・シラ セネガル 1994.3.20(24歳)

監督

イヴ・ヴァンデルハーゲ ベルギー 1970年1月30日(48歳)

移籍

加入

GK コリン・コーセマンス(メヘレン)
DF フランク・バヒ(ガンガンFC)
DF イゴール・プラストゥン(ルドゴレツ・ラズグラド/ブルガリア)
MF エリック・スミス(ノーショッピング/スウェーデン)
MF ヴァディス・オジジャ(オリンピアコス/ギリシャ)
FW スタローヌ・リンボンベ(アントワープ)
FW タイウォ・アウォニイ(リヴァプール/イングランド)
FW ジャン=リュック・ドムペ(スタンダール・リエージュ)
FW ギオルギ・クヴィリタイア(ラピド・ウィーン/オーストラリア)
FW ギオルギ・ベリゼ(トレンチーン/スロヴァキア)
FW アーメド・モスタファ(ペトロジェット/エジプト)
DF オフィル・ダヴィザダ(マッカビ・テルアビブ/イスラエル) 期限付き移籍満了

トップチーム昇格

FW ジョナサン・デイヴィッド
MF ホセ・ルイス・ロドリゲス

放出

DF サミュエル・ジゴ(スパルタク・モスクワ/ロシア)
DF ステファン・ミトロヴィッチ(ストラスブール/フランス)
DF ノエル・スマー(ウェステルロ)
MF ケニー・サイエフ(アンデルレヒト)
MF アンデルス・クリスチャンセン(マルメFF/スウェーデン)
MF ダニイェル・ミリチェヴィッチ(オイペン)
MF サミュエル・カル(ボルドー/フランス)
FW モーゼズ・サイモン(レバンテ/スペイン)
FW ランジェロ・ヤンガ(アスタナ/カザフスタン)
FW リオル・インブラム(ベイタル・エルサレム/イスラエル)
FW ピーター・オラインカ(スラヴィア・プラハ/チェコ)
DF ノエ・デュセンヌ(クロトーネ/イタリア) ※期限付き移籍満了
FW ギオルギ・ベリゼ(ウイペシュト/ハンガリー) ※期限付き移籍

ベルギー勢初のCLベスト16に

KAAゲントは、ベルギー北部の西フランデレン州のゲントに、1864年に陸上競技のクラブとして設立。1900年にサッカー部門「AAラ・ガントワーズ」が設立させました。1971年にフラマン語(オランダ語)の「KAAゲント」に改名し、現在に至ります。

アンデルレヒト、クルブ、スタンダール・リエージュなどのベルギーを牽引してきたクラブとは異なり、70年から10年連続2部以下で低迷し、1989年以降は1部に定着するものの、残留争いに巻き込まれることもありました。

2005年に新スタジアム建設の計画が明らかになって以降、ゲントは徐々に力をつけ、2006年には優勝争いを演じ、当時のエースのムバラク・ブスファがゴールデンシューズを受賞。2008-2009シーズンには、ミシェル・プロドーム監督が率い、コスタリカ代表のエース、ブライアン・ルイスの活躍もあり、1955年以来の2位でフィニッシュします。

2013年に念願の新スタジアム、ゲラムコ・アレナが完成。2014-2015シーズンに、コルトライクから来た、ハイン・ヴァンハーゼブルック監督が就任し、創設115年で初めてのリーグ優勝を果たしました。

2015-2016シーズンのチャンピオンズリーグでは、初出場ながら、ゼニト・サンクトペテルブルク、バレンシア、リヨンがいるグループを2位で勝ち上がり、ベルギー勢としては初となる、UEFAチャンピオンズリーグのベスト16に進出。2016-2017シーズンでのUEFAヨーロッパリーグでは、決勝トーナメント1回戦でイングランドの強豪トットナムに競り勝ち、近年のベルギー勢を代表するチームに成り上がっていきました。

後半に盛り返すが4位でフィニッシュ

2017-2018シーズンのゲントは、FWクリバリー、ペルベ、DFゲルションなど放出。MFアンドリヤシェヴィッチ、チャクヴェダゼ、FWシラ、ヤレムチュク、DFデュセンヌ、ブロンなど獲得し、2シーズンぶりの優勝を狙いました。

しかし、開幕からチームは低調な出来で、チームは5試合勝利なし、ヨーロッパリーグでは予備選3回戦はオーストリアのアルタッハに敗戦。得点を奪える日に失点を重ね、ロースコアの勝負ではスコアレスドローか0-1の敗戦で、勝利に見放されていました。9月27日に双方同意の契約解除により、クラブ史上初のリーグ優勝とチャンピオンズリーグ決勝トーナメント進出をもたらした、ハイン・ヴァンハーゼブルック体制は3年半で終了しました。

10月4日からは、オーステンデの監督を解任されたばかりの、イヴ・ヴァンデルハーゲが就任します。3年以上採用してきた3-4-3はやめ、4-2-3-1にシステムを変更します。前任者では精彩を欠いていた、DFブロン、MFヴェルストラーテ、FWヤレムチュクがフィットし、守備陣は12月時点でリーグ最少を記録。得点が伸び悩む久保裕也に代わり、ヤレムチュクがゴールを重ね、チームは2ヶ月で14位から4位に上昇し、危なげなくプレーオフ圏内でレギュラーシーズンを終えました。

プレーオフでは、最初の2試合はアンデルレヒト、クルブに勝利し、追い上げムードが高まったが、その後はまさかの6試合勝利無しで優勝を逃します。最後2試合はアンデルレヒト、クルブに勝利し、4位で終了しました。プレーオフでは苦手シャルルロワに連敗したのが大きく響きました。

2年連続チーム得点王の久保裕也

2017年1月にヤングボーイズへ移籍してから、2シーズン連続でチーム得点王になり、エースストライカーとして活躍する久保裕也。

2016-2017シーズンでは、当時のヴァンハーゼブルック監督(現アンデルレヒト)の希望どおり、ヤングボーイズから350万ユーロの当時のクラブ史上最高額で加入。3-4-2-1の2シャドーの一角のポジションに入り、半年間で11ゴール挙げ、守備の要として奮闘したクロアチア代表GKカリニッチ、フランス人DFジゴと共に、プレーオフ争いで苦しんでいたチームを3位に導く原動力になりました。

しかし、2017-2018シーズンでは、開幕前の補強に失敗したこともあり、チームは開幕から低迷。9月末にはヴァンハーゼブルック監督が退任になり、後任にはオーステンデの監督を解任されたばかりのイヴ・ヴァンデルハーゲ監督が就任し、チーム戦術は変わり、久保の得点数は伸び悩みました。ほとんどゴールを奪うことに集中できた前任者と、監督交代後に真価を発揮したヤレムチュクを活かすために、引き付け役のように振る舞っていた現監督との違いで、得点力も大幅に変化がありました。

レギュラーシーズン終盤からプレーオフ序盤では、ベンチスタートもあった久保だったが、プレーオフ第4節からはセンターフォワードでプレーすることに。鋭い裏抜けから得点を重ね、W杯に向けて、上々の仕上がりを見せていました。

フォーメーション

開幕2試合のフォーメーションは、4-2-3-1と4-3-3を採用。昨シーズンは主に4-2-3-1を採用していました。現在はW杯後の休養からチームに復帰しているが、開幕2試合は正GKカリニッチは欠場。チュニジア代表のDFブロンは、W杯のベルギー戦での膝の怪我のため、開幕には間に合いませんでした。守備陣はコーセマンスとロステッドが控えで、本来はカリニッチとブロンが入るものと思われます。

中盤は昨シーズンで途中から不動のMFビルゲル・ヴェルストラーテと、元ベルギー代表のヴァディス・オジジャが開幕戦出場。オジジャが負傷退場後にナイジェリア人MFアンダーソン・エシティを投入したが、エシティはミスからPKを献上しており、レギュラーと控えの差があります。

両サイドは、サミュエル・カル、モーゼズ・サイモンのナイジェリア人の快速アタッカーを放出しており、得意のサイドからのカウンター攻撃はやや陰りが出るかもしれません、中に入ってゴールを狙う動きが得意のヤレムチュクが左、巧みなドリブルが得意なフランス人MFドンペが右のレギュラーで、ユーティリティプレーヤーのデヤーゲレ、アントワープから獲得したウイングのりんボンベ、左ならチャクヴェダゼも入ることも考えられます。

トップ下は久保裕也、チャクヴェダゼ、アンドリヤシェヴィッチが主に起用されていくと考えられます。セカンドストライカーのようにゴールを狙っていく久保裕也、巧みなボール捌きでチャンスを作るチャクヴェダゼ、その両方を担えるアンドリヤシェヴィッチといったところですが、2試合連続で得点に絡むチャクヴェダゼが現時点では有利でしょうか。

注目選手

FW ロマン・ヤレムチュク

チームでは、久保裕也と並ぶ二大大砲として活躍する、22歳のウクライナ代表のアタッカー。名門ディナモ・キエフ出身だが、セカンドチームやオレクサンドリアなどでプレーし、昨シーズンからゲントに加わりました。当初はセンターフォワードで起用されたものの、なかなかボールを収めることができず、精彩を欠いていたが、ヴァンデルハーゲ新監督就任後は、左右のウイングで起用されて、サイドからの果敢な飛び出しでゴールを量産。レギュラーシーズンではエース級の働きでした。

フィジカルに恵まれ、一瞬のスピードで強引に縦へ抜きにかかるのが特徴としており、サイドから中央へなだれ込む動きを得意とします。右サイドでチャンスを作ることが多いゲントですが、大外のヤレムチュクを活かすための手段とも言えるでしょう。

MF ビルゲル・ヴェルストラーテ

昨シーズン途中からレギュラーに定着し、急成長を見せたセンターハーフ。2017年1月にヴァンデルブリュッゲンとの交換により、コルトライクから加入するも、出場機会はなかなか得られず、ゲントでは苦戦を強いられていました。怪我人増加により、中盤のポジションを掴むと、攻守ともに安定したプレーを披露し、これまで重宝されていたエシティからポジションを奪いました。

長短のパスで攻撃を組み立て、守備では的確なポジショニングで未然にピンチを防ぐ万能型で、バランスが良く、大きな弱点がない安定したセンターハーフです。今季はフィジカルに優れるオジジャが加わったことで、攻撃面での組み立てに期待がかかります。

MF ゲオルギ・チャクヴェダゼ

昨シーズン夏の移籍マーケット締切ギリギリに、ディナモ・トビリシから獲得した、ジョージアの新星チャクヴェダゼ。加入1年目の昨シーズンでは、主にスーパーサブで起用され、トップ下、左サイドから、ドリブルとスルーパスを武器にチャンスを演出。シーズン中盤では猛威を奮っていました。

今シーズンは、公式戦3試合、全てスタメンで出場。スタミナ面では改善傾向にあり、あとはフィジカルと守備面が大きな課題か。攻撃センスは非凡なだけに、チャクヴェダゼの成長が今季の大きなカギを握ります。

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