JPL.29 Waasland Beveren – Gent / 最終決戦へ

2017-03-09

なかなか更新できてませんでした。DAZNでも放送されたワースランド・ベヴェレン-ゲント戦。かつてはSKベヴェレンとして、オースト・フランデレン州のサッカーを引っ張ったものの、財政難でレッドスター・ワースランドと合併し、新しく生まれ変わったチームで活動するワースランド・ベヴェレン。今季も残留争いに巻き込まれるが、アンデルレヒト、クラブ・ブルージュに勝利している曲者です。近隣のゲントとはダービーマッチになります。

ハイライト

フォーメーション


前節はムスクロンに3-1で勝利したゲントだが、この試合の招集メンバーには、主力メンバーのDFアサレ、MFレナト・ネト、MFミリチェヴィッチが不在。ELとの過密日程でコンディションを崩す選手が多く、メンバーが固定できない厳しい状況になります。対する、元マケドニア代表監督で、2007年にはゲントでアシスタントコーチも務めた、セドミール・ヤネフスキ監督率いる、ワースランド・ベヴェレン(以下W-B)は、2012年の昇格以来、毎年のように残留争いを強いられるものの、ここ2試合を連勝し、2試合を残し残留を決めています。

堅守速攻に徹するワースランド・ベヴェレン

W-Bは、左にランジル、中央にコンテ、右にミーニを置き、彼らのスピードを活かしたカウンターアタックが得意なチーム。左のランジルは、オセール、レギア・ワルシャワ在籍時にCLを経験する実力者で、今冬にポーランドのレギア・ワルシャワから復帰、コンテはズルテ・ワレヘム、アンデルレヒトで主力を担った実績があるセカンドアタッカー、ミーニは突破力が際立つ、22歳のサイドプレーヤー。この3人の打開力で、年明けに3勝しています。

ホームで敗戦を喫したオイペン戦、アウェーで引き分けに終わったスタンダール戦は、相手チームは自陣までチームの重心を下げて、ボールを奪ったら、ゲントの3バックのサイドをスピードがあるアタッカーで突いてきます。最近のベルギーリーグでは、「ゲント対策」として、やや定着しつつあるものの、基本リアクションサッカーを志向するW-Bのスタイルとはマッチするだけに、この日も組み立てに苦心します。

15分に楔のボールを受けに来たマトンに対し、W-Bのデ・スフッテルが後ろからタックルで倒し、レッドカード。これでW-Bは早い時間帯で数的不利に陥ります。後ろから足を入れているが、レッドカードとしてはあまりにも厳しい判定。更に25分には、守備の要のDFカマーショが負傷退場により。フィンランド人DFモレンとの交代を強いられ、W-Bにとっては不運な状況が続きます。

これでゲントがペースを掴むと思いきや、数的不利により、戦い方を更にはっきりさせ、ボールポゼッション度外視の堅守速攻を徹底。27分にスローインからの縦パスを、MFセックがカットすると、コンテのスルーパスからランジルが抜け、FWセリジョーニが潰れたところ、最後はミーニが押し込んで、10人のW-Bが先制します。カットはまだしも、ボランチのエシティが、コンテを素早く潰せなかった時点で、勝負ありでした。

ビハインドでもやること変わらないゲント。不安定さも変わらず

その後、カルの不必要なホールディングや、サイエフのダイブなどで、カードをもらい、焦りが見えているゲント。しかし、長短のパスでボックス内を崩していくサッカーは変わらず、選手間の連携や技術的なミスを繰り返しても、サッカースタイルを変えません。すると、41分に右CBフォケがボールを持ち敵陣に侵入すると、ボランチのスホーフスがペナルティエリア内に上がり、縦パスを受けると、右サイドでフリーになったカルにパス。最後はカルの高精度のクロスから、マークを剥がしたペルベが頭で同点ゴールを決めます。

しかし、不安定なサッカーは変わらず、ミスからカウンターを受けて、コーナーキックを取られると、コーナーキックのこぼれ球から、ミーニの思い切ったシュートで、またもやW-Bにリードされます。前半は2-1で折り返します。

ゲントは3-4-1-2に変更


後半、ゲントは良いところがなかったエシティを下げて、CFのクリバリーを投入。久保が加入以後では、初めてクリバリー、ペルベ、久保の3人を同時起用することになります。クリバリーとペルベが2トップを組む形となり、トップ下に久保、3トップの右に入っていたカルは右ウイングバックに入ります。ユーティリティプレーヤーのマトンがスホーフスとセンターハーフに入ります。

チームの流れ自体は、W-Bのカウンターの危機に晒される展開には変わりないが、195cmのターゲットマンのクリバリーが入ったことで、ゲントは縦パスの本数を増やします。落として、周りのペルベや久保が狙う攻めの形ができます。次は中央の意識が強くなったW-Bの守備陣に対し、ドリブラーのサイエフとカルが仕掛ける形ができます。

56分、W-Bのクリアミスを拾ったゲントが、右CBのフォケが右サイドへ展開。カルがサイドを突破すると、中央で待ち構えていたFWペルベが高速のクロスに触り、ゲントが同点に追いつきます。ニアにクリバリー、バイタルに久保、ファーサイドにサイエフと、十分な人数でW-Bの守備陣を壊します。

そして、73分、右サイドのカルのカットインを止められ、一旦ボランチのマトンに戻し仕切り直し。ボックス内へ侵入するスホーフスを経由して、バイタルでボールを受けた久保裕也が、相手ディフェンダーを躱して左足でシュート。GKケテレシュの左脇下を通るグラウンダーのシュートが決まり、ゲントが逆転に成功します。

その後、快速アタッカーの突破力を軸に、同点に追いつこうと奮闘するW-Bだが、逆転した直後は冷静な試合運びで、相手にゴールを許さず。試合は3-2で逆転勝利しました。

実力者ペルベの復調、そしてチームを加速させる久保の存在

前半は左サイドで起用され、良いところが無かった久保だが、後半になり、ポジションを中央付近へチェンジ。2度の得点王を経験し、泥臭いゴールが多く、ボックス内で強さを発揮する、ゴール数チームトップのペルベと、ヤングボーイズ時代はバイタル付近からのミドルも多く決めている久保で、上手くポジションの整理ができました。久保自身のシュートチャンスこそ、現時点ではあまり多くないものの、少ないチャンスからでも決められるのは、久保の個人技だけではなく、チームとしての的確なポジショニングの徹底がなされた結果だと思います。

昨シーズンの得点王で、ビジャレアル時代はリーガ・エスパニョーラでも、二桁得点を記録するだけに、実績ではチームトップのペルベだが、主にカウンター重視のチームで結果が残すことが多く、特異なサッカーをするゲントでは上手くフィットできませんでした。しかし、ELのスパーズ戦での、絶妙なポジショニングからの2得点で、ようやくゲントに馴染めるようになりました。

そして、セカンドトップでプレーする久保は、ここ2年のゲントでは最も足りなかった部分を埋める選手で、今のチームをより加速させます。セカンドストライカーよりはチャンスメーカーのミリチェヴィッチ、ドリブラーのサイモン、ユーティリティプレーヤーのデヤーゲレとマトンが、今まで務めてきたポジションですが、決してゴールを量産できる選手とは言えません。技術が高く、かつ遠いレンジからでも十分狙える久保の加入もまた、得点力向上に向け、大きな可能性を秘めています。あとは、周りの選手との連携、ディテールの部分でしょうか。

こうなると、ターゲットマンとしては優秀だが、全体的に技術の粗さが目立つクリバリーの起用法が難しくなるものの、突拍子もないところから決めることもあるだけに、3人の特徴を活かし、ゴール量産につなげて欲しいものです。

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